ヨーロッパ横断鉄道旅行-第5弾(プラハ→ベルリン)(9)

2番目の門
6日目

山上の要塞

 この日は、前日とは逆方向、すなわちエルベ川を遡る方向に向かう。プラハからの途上で素通りしたエルベ渓谷に行くのである。9時31分、シェーナ行きの普通列車でドレスデンを出発する。
 列車はまっすぐ南東に進んでドレスデンの市街地を抜けると、ハイデナウに停車。しばらくしてエルベ川が左側に現れる。9時53分、ピルナに停車する。ここはドレスデンを中心とするSバーンの発着点の一つで大きな駅だが、なぜかここにしばらく停車する。10時5分、ようやく発車。
 エルベ河岸の美しい風景が見える。オーバー・フォーゲルゲザング、シュタット・ヴェーレンを過ぎると、対岸の山上にあのバスタイ橋が見える。まもなくクーアオルト・ラーテンに停車。ここからエルベ川は大きく南に、そして西に大きく蛇行する。そしてまたエルベ川が東に蛇行したところで、山上に大きな岩場と建造物が見える。これがケーニヒシュタイン要塞である。そして10時20分、列車はケーニヒシュタインに停車する。私はここで下車する。

 駅前に出たところで何も案内がないのは、海外では普通にあることで(そういう意味で、駅前の看板や地図が豊富な日本は素晴らしい)、こういう時は周りの人について行くなどの勘に頼るしかない。そのようにして駅前から少し坂道を下り、町の中心近くに出ると、案の定、要塞へ向かうバス乗り場があった。ここから2階建てのバスに乗る。
 バスは町を抜けると、ぐんぐん山道を上り、上りきったところで左に折れると、大きな駐車場に停車する。この駐車場から先はバスが入れないようで、SL型車両に牽引されたミニトレインに乗り換えてさらに坂道を上る。
 ミニトレインの着いたところは、目の前に巨大な切り立った岩場が聳える場所だった。ここが、ザクセン王が代々守ってきたケーニヒシュタイン要塞である。

 入場するとまず、岩場の中にあるエレベーターに乗り、一気に上まで上る。上に出てみると、岩場がほぼ垂直に切り立った様がよく見える。これだけでも足がすくむ・・・。(ちなみに、写真中の外に露出したエレベーターは下り専用である。)
 まずは要塞の中をぐるりと回ってみよう。奥に進むにつれて入口付近のアスファルトの地面は姿を消し、切り立った岩場の下には山の急な斜面しか見えなくなる。ますます足がすくむ・・・。さらに進むと、ケーニヒシュタインの町とエルベ川の見事な眺望が現れる。この眺望こそ、この要塞の真骨頂である。エルベ川や河岸の道を通る敵軍は、要塞からの砲撃をかわすことは困難だったであろう。
 足がすくむのをこらえて河岸の線路をしばし眺めると、真っ赤なSバーンが走り去って行くのが見える。

 今度は視点を変えて、エレベーターを使わずに要塞に上ってみよう。これが本来の要塞への入り方である。
 まず、最初の門はとても小さい上に、壁が三方にあり、戦闘時には壁の上に兵士が配置された。最初の門を抜けるとすぐに2番目の門がある。これも小さい上に、辺りは壁だらけだ。この狭い空間で四方から撃ち込まれたらたまったものではない。ここを抜けると、大きな堀があって、平時には木製の橋が架かっているが、戦闘時にはもちろん焼き払われる。堀の対岸には巨大な建物というよりは壁が聳えている。もちろん、この建物は平時には司令官の住居だったり、いろいろ利用されているわけだが、この威圧的な造りは、敵の戦意をそぐには十分だろう。
 さて、堀に架かる木橋を渡って、あの大壁の中のトンネルを通って、要塞の中に入ると、そこは今までの厳しい雰囲気とは一転して穏やかで平和な空気に満ちた世界になる。兵舎などの建物が近代的なのは、ザクセン王国が消滅する第一次世界大戦時まで、ここが現役の要塞として利用されていたからだそうだ。

 またミニトレインやバスに乗って町に戻り、そしてケーニヒシュタイン駅に行く。この駅はエルベ川にすぐ面しており、遊覧船の船着場もすぐそばにある。そのままでは十分なホーム幅を確保できないため、上下線のホームがずらして設置されている
 14時15分発のドレスデン方面行きの列車に乗ろうとしたのだが、5分経ち、10分経ってもやって来ない。このホームには日陰がないので、涼しい川風が時折吹いてくるとは言え、相当つらい・・・。列車がようやくやって来たのは14時47分。これは1本間引きされたのだろうか?15時25分、ドレスデンに到着。

続く
目次へ

"ヨーロッパ横断鉄道旅行-第5弾(プラハ→ベルリン)(9)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント