ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(11)

サン・ポール通り
花束

 バスは駅前を通過すると、市の中心部に入る。そして、公園の前に停車する。ここが終点のようだ。まずは近くのレストランに入って昼食。コース料理を食べる。前菜のカクテルにチーズのピザ風・西洋わさびのせ、メインはチキンのソテーとトマトのグリル。満腹・・・。

 ほろ酔い気分で公園西側の旧市街地に向かう。その入口に口を開けているのが、マシヨン門だ。ここをくぐると狭い路地が北西側の丘に向かって上り坂となっている。タンプリエの塔の前を通って、さらに坂を上る。この街には花が多い。家々の壁から飛び出すその姿は、実に鮮やかだ。

 サン・ポール教会の前までやって来た。ここでも草が壁からはい出して花を咲かせている。人家はまばらになるが、上り坂はさらに続き、勾配もきつくなる。腹ごなしの運動としては、ややきつい・・・。

 息を切らせながら坂を上りつめると、そこは城跡だった。イエールの町と青い海、そして島々が一望できる

 城からの下りは、別の道を通ってみた。こちらはヘアピンカーブの続く、いかにも山道らしい道だ。そしてここでも、鮮やかな花が顔をのぞかせる。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(10)

ポルクロル島→ラ・トゥール・フォンデュ
4日目
白波

 朝、イエール駅前から67番の市バスに乗る。バスは幹線道路を南東へと向かうのだが、線路が並走していることに気が付く。前回も少し触れたように、この線路は駅からずっと伸びている。だが、イエール港の手前で線路はぷっつりと途絶えてしまう。おそらくは、かつて港への引き込み貨物線だったのであろう。
 幹線道路は、港の入口で向きを南に変える。ここからは細長く海に突き出た潟となる。ビーチが続き、リゾートホテルが立ち並ぶ。宿泊客と思わしき人々が次々とバスに乗り込んでくる。
 潟が尽きると、今度は山道を上る。ここは、おそらくかつては島だったのであろう。坂道の途中でバスは横に折れ、さらに狭い坂を上ると、教会の前の展望台のようなところに到着。ここでしばらく停車すると、今度は来た道を折り返して、先ほどの道の分岐点に戻ると、南東へと坂道を下る。
 そして終点のラ・トゥール・フォンデュに到着

 ラ・トゥール・フォンデュという名前は、おそらく岬の先端にある灯台のような砦のような建物を指すのであろう。ここにも小さな港があり、イエール諸島に向かうフェリーが発着している。その一つ、ポルクロル島に向かうフェリーに向かうが、早くもすごい行列だ・・・。
 フェリーは9時30分に出発する。混雑のため、ど真ん中の何も見えない席に追いやられてしまう。10時前にはポルクロル島に到着。

 島は、港の周辺こそ賑わっているものの、その先に行くと未舗装の道路も多く、バスなどはない。長時間滞在できるのであれば、あちこち散策できるのだが、私には長くて数時間しかなく、港の周辺を少し歩き回るしかできない。
 まずは港から東へ少し歩くと坂道となり、崖下にはビーチやボートの停泊場が見える。
 今度は港から南に向かうと小山があり、山の上にはいつの時代のものかわからないががある。
 もちろん、どの方向にも道はずっと先に伸びているのだが、あまり深入りできない私は早々に引き上げてしまう。

 11時30分のフェリーでイエールに戻る。さすがにこの時間に島から戻る人は少なく、今度は船縁に座れる。乗客が少ないせいなのか、潮のせいなのか、船足が速い。白波を立てて快調に進む。早くも11時45分にはラ・トゥール・フォンデュに到着。
 折り返しのフェリーは、乗客を満載して慌ただしく出港する

 11時50分発車予定の67番バスは、なかなかやって来ず、結局12時15分に到着した・・・。案の定、ここまでぎっしり詰め込まれた超満員の乗客が一斉に降りてゆく。フェリーと同様、イエールへ戻る便は大して混んでいない。潟のビーチも大勢の海水浴客で賑わっている。バスは、遅れを取り戻すためなのか、恐ろしく飛ばす・・・。今度は駅前では降りず、終点の市中心部まで乗り続ける。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(9)

パリ行きTGV(トゥーロン駅)
カンヌ→トゥーロン→イエール

 カンヌ駅に戻って列車の切符を自販機で買おうとするが、何だかんだで乗りたい列車を予約できない・・・。結局スマホのSNCFアプリで購入。もうこういう時代なのだ。
 16時22分発のパリ行きTGVは、10分以上遅れてカンヌに到着。1等車は左右2列ずつでとてもゆったりしており、乗り心地もいい。それは良いのだが、私の座席は山側で、海が見られない・・・。
 列車は12分遅れの16時34分に出発。すぐに入ったトンネルを抜けると、ビーチが広がる(はずだ)。ラ・ボッカの手前で北に向かう線路と分岐すると、大きな操車場を抜ける。次いで、大きなヨットハーバーのあるシアーニュ川を渡ってナプールを通過。海岸にはナプール城が見える(はずだ)。

 ここからは、「コルニッシュ・ドル(黄金の断崖)」と呼ばれるエリアに入る。確かに山側には赤茶けた岩山が無数に聳えている。だが、海岸の方は見ることができない。何だか、真っ二つに割られた風景画の片方を見せられているようでモヤモヤしてしまう。この景色を堪能したいならば、やはり途中下車すべきなのだろう。
 私がモヤモヤしている間に、列車はテウール、ル・トラヤ、アンテオール、アゲ、ル・ドラモン、ブルリと(たぶん)風光明媚な港町を次々に通過する。
 そして、列車は早くもコルニッシュ・ドルの西端、サン・ラファエルに停車する。16時56分。

 ここからは海と離れて内陸に入る。大聖堂とローマ遺跡のあるフレジュスを通過し、TGVらしくスピードを上げて西にぐんぐん進む。17時12分、レ・ザルクに停車。南に向きを変え、さらにぐんぐん進む。ラ・ポリーヌの手前で、左から線路が合流。これがイエールからの線路である。
 やがて大きな市街地が現れ、列車は徐行する。17時45分、トゥーロンに停車。私はここで下車する。

 フランス海軍の拠点もある大きな港町の玄関口だけあって、トゥーロンの駅舎はなかなか立派である。一方、イエールへ向かう路線はローカル線だからか、TGVの停車するホームに比べるとそのホームは非常に狭い・・・。

 18時5分、イエール行きの列車が入線する。マルセイユ始発の列車である。18時7分に発車。いったんカンヌ方面へと逆戻りする。
 2つ目の駅、ラ・ポリーヌには18時14分に停車。おそらく信号待ちをするのだろう、ここで4分待って18時18分に発車。その直後、カンヌ方面への線路と分岐して東に向かう。ここからはイエールへ向かう単線の支線となる。
 18時19分、ラ・クロに停車。そして18時26分、終点のイエールに到着。結局、この支線には駅が2つしかないのだ。

 イエールは行き止まりの駅だから、ホームが頭端型になっているのは不思議ではない。だが、通路が踏切になっているのは、後述するようにこの先に貨物線が伸びているからだろう。それにしても、ローカル線の駅とは思えないくらいホームは広く、長い。トゥーロン駅のホームとは対照的ですらある。それは、パリに直通するTGVが発着しているからなのであろう。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(8)

フェリー乗り場(サント・マルグリット島)
透明

 駅のコインロッカーに荷物を預け、街に出る。何も考えずに駅の反対方向にまっすぐ歩くだけで海岸通りに出る。そこは、世界で何が起ころうともずっと陽気でいられるのでは?と思えるくらい明るい場所であった。だが、他のリゾート地と同じく、ここでも散歩以上のことをしようとすれば、何をするにもお金がかかってしまう。だから私は、街の喧騒から逃れるように港へと向かう。ビーチのすぐ隣に、今や大型船の停泊にはすっかり適さなくなった小さな旧港がある。係留されたクルーザーがずらりと並ぶ姿は圧巻である。

 旧港のずっと奥に、新しい港が続く。ここのフェリー乗り場からは、カンヌ沖合のレランス諸島へ向かう船が出ている。
 フェリーは12時ちょうどに出港。ヘリポートのある港の灯台をたちまち通過すると、大型客船やクルーザーが行き交うナプル湾に出る。屋根がないので、正午の陽光をまともに浴びてしまうのがつらいが、その分海風が心地よく感じる。まもなく島影が現れ、フェリーはそこに近づいていく。12時15分、サント・マルグリット島に到着

 まず、海底が透けて見えるのに驚く。カンヌのような都市の間近にあるとはとても思えないくらいだ。
 驚いてばかりもいられないので、どこかに歩いて行こう。フェリー乗り場から東に歩くと、小高い丘の上に要塞がある。以前は監獄であった場所で、かの「鉄仮面」も収監されていたと言われる。現在は海洋博物館になっているが、廊下や部屋はとても狭く、監獄だった時代を偲ばせる。
 要塞の城壁からは、島の美しい海岸ナプル湾、そしてニースの方まで一望できる。

 要塞を出て、花咲く小道を歩いて港の方へ戻る。レストランは混み合っているから、何かテイクアウトできるものを探していたのだが、どうやらチャーハンに見える写真を見つけたので、思わずその品を買ってしまう。ところが、それは米ではなく、クスクスのサラダ(タブレ)であった・・・まあ、デュラム小麦からできているので主食には違いないが。
 海岸は暑くて仕方ないから、少し小高い丘に登って木陰で休む。

 14時15分発のフェリーが、10分ほど遅れてやって来る。フェリーはをあっという間に離れると、ナプル湾を通り、そしてカンヌの港が再び現れる。クルーザーのポールがまるで剣山のように無数に聳えて町を守っているかのようだ。14時40分に到着。

 芋の子を洗うよりも若干少ないかもしれないが、それでも海水浴客でごった返すビーチを後にして、駅へと向かう。カンヌで遊べるようになるには、私には何十年も早い気がする(笑)。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(7)

アンティーブ→カンヌ
ニース→カンヌ

 10時前、ニース・ヴィル駅に行く。前回の旅では工事中だった駅舎が、ようやくその全貌を現す。新しい駅舎では、電光掲示板は固定のものではなく、壁に映し出されているのがおもしろい。
 乗るのはニース始発でボルドー行きの都市間特急intercity。せっかくだから1等車にしてみた。座席は1列/2列でとてもゆったりしている。

 10時24分、列車が発車する。すぐに市街を抜けると、プロムナード・デ・ザングレに並走して、空港の前を通過。ヴァール川を渡って、ニースとお別れする。初めは西に向かっていた列車は、南へと向きを変え、しばらくすると徐行を始める。そして車窓にはビーチが現れる。10時43分、ピカソ美術館のあるリゾート地・アンティーブに停車。
 次の駅、ジュアン・レ・パンを通過すると列車は再び西に向きを変え、車窓にはまたビーチが現れる。次々に現れるビーチの風景に見とれていると、列車は突然トンネルに入って徐行。そして駅に停車する。カンヌだ。10時55分。私は心の準備ができておらず、少し慌てて下車する。

 ホームに降り立つと、そこは四方を囲まれているように見え、地下駅なのかと一瞬錯覚するのだが、実は地上駅である。ホームの真上に幹線道路が通り、ホームの両端はトンネルになっているのである。
 駅前に出ると、雲一つない青空から陽光が降り注ぐ。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(6)

城跡から(ニース)
3日目
青弓

 今日も朝から快晴だ。ニースの名残を惜しんで、早朝から散歩に出かける。
 ニース・ヴィル駅前からトラムに乗って、南の旧市街に向かう。陽光を浴びたオペラ座の前を通って、海岸通りを歩く。朝のジョギングをする人々がたくさん行き交う。途中で寄り道をしてカフェに入り、朝食。大したものではないが、ちょっとだけリゾート気分に浸る。

 腹ごなしに散歩を続ける。前方に丘が見える。ニースの城跡だ。丘の展望台に通じるエレベーターがあるのだが、なぜだか動かない。仕方なく、階段をひたすら上る・・・。
 息を切らしながら登った展望台からの眺めは、期待通りであった。弓なりになった海岸。砂浜を挟んでぎっしりと凝集した街は、西から陽光に照らされ始め、夜の名残の影は、東へと(つまり展望台の方に)向かって退却している。

 帰り道、旧市街には骨董市が出ていた。何といっても富裕層がバカンスに来る場所だから、さぞかし良いものが出ているだろうが、残念ながらじっくり見ている余裕がない。ホテルに引き返す。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(5)

ディーニュからの列車(ニース駅)
(支線)アノ→ニース

 アノを発車すると、列車はさらに峡谷を下る。初めはずっと下に見えていた谷底に、あっという間に着いてしまう。16時12分、Saint-Benoit Pont de Gueydanに停車。まもなく峡谷はヴァール川に合流する。そして16時18分、列車はアントルヴォーに停車。

 列車はヴァール川に沿って東に進む。16時27分、ピュジエ・テニエに停車。やはりと言うべきか、往きの列車でSLに乗るため下車したと思われる多数の乗客が、今度は一気に乗ってくる。車内はあっという間に超満員に・・・。川は蛇行しながら、その川筋を広げる。乗客を満載した列車はよく揺れる。16時38分、Touet sur Var、次いで16時49分、Villars sur Varに停車。

 ここから川は一気に狭くなって峡谷となる。列車もますます揺れる・・・。17時3分、La Tinee Arret、17時8分、Levens Plan du Varに停車。

 Levens Plan du Varを出ると、峡谷は後退して辺りが開ける。この辺りでは、往きの列車に続々と乗客が乗ってきたのと見事に対応して、一駅ごとに乗客が少なくなってゆき、超満員だった車内にもようやく余裕が生まれる。17時28分、Lingostiereに停車。ここでようやく対向列車と遭遇。

 列車はヴァール川から離れて東に向かうと、丘を貫くトンネルを抜け、17時38分にマドレーヌに停車。既にニースの市街地であり、丘の斜面には住宅が立ち並ぶ。そしてこれらの丘の下のトンネルを抜けると、いよいよニースに到着する。17時54分。単純に往復するだけで1日を費やしてしまった。プロヴァンス鉄道、恐るべしである。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(4)

トラム・オート付近
(支線)ディーニュ・レ・バン→アノ

 ホームに向かうと、先ほど乗ってきた列車がそのまま停車していた。そして、これが折り返しのニース行きとなる。

 14時25分に発車。次のゴベールには14時31分に停車。辺りにはひまわり畑やゴルフ場が広がる。
 列車は次第に山道を登り始める。ゴーカートのコースのようなものまである。地面が乾いているせいか、砂ぼこりが立ち込める。14時41分、メゼルに停車。ここからはアッス川に沿って進む。14時48分シャブリエール、14時55分ショドン・ノラント、15時2分バレームに停車。川幅は次第に狭くなり、車内の乗客は増える一方である。
 15時16分、モリエに停車。ここから長いトンネルに入り、途中から坂を下る。湖岸の美しい街が見えてきた。15時21分、サンタンドレ・レ・ザルプに停車。ここで対向列車を待って、15時25分に出発。再び坂を上り、今度はヴェルドン川に沿って進む。

 15時36分、トラム・オートに停車。線路脇の壁には、駅付近?の写真が描かれている。列車は一度ヴェルドン川を渡って対岸を進むと、再び川を渡ってトンネルに入る。
 長いトンネルの中で分水嶺を越えて、15時43分にPryseqに停車。ホームが短いので、前半の車両は橋の上にかかっている。15時47分、メアイユに停車。峡谷に沿って坂を下っていく。川沿いには別荘らしき大きな屋敷と庭が見える。
 やがて谷間が下方に大きく開け、線路はほとんどループを描くように大きくカーブする。カーブからは、美しい村の景色がパノラマのように広がる。カーブを抜けると、ル・フュージュレに停車。15時54分。
 下り坂はまだ続く。今度はやや大きな町が現れる。列車折り返し用のターンテーブルが見える。16時ちょうど、アノに停車。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(3)

ディーニュに到着した列車
(支線)アントルヴォー→ディーニュ・レ・バン

 列車はアントルヴォーに停車している。本来なら「私はここで下車する」と書きたいし、あの砦に登ってみたいところなのだが、日程の都合上プロヴァンス鉄道に使えるのは1日のみ。ここで下車してしまうと終点のディーニュ・レ・バンまで行ってニースに戻ってくることは難しくなってしまう。というわけで、泣く泣く列車に乗り続ける。

 列車はアントルヴォーを発車。ヴァール川の峡谷を上流へと進む。やがてヴァール川とは分かれて、その支流の峡谷を進む。11時23分、アノに停車。そこそこ大きな集落で、ピュジエ・テニエ始発のあのSL列車の終着駅もここである。
 勾配はますますきつくなり、トンネルも断続する。11時32分、ラ・フュージュレに停車。発車すると、ほぼループに近い大きな連続カーブを抜けて、標高はさらに高くなる。岩山の上に何か建物が見える。11時38分、メアイユに停車。

 列車は次のPeyrseqを通過すると、ここから長いトンネルに入る。トンネルを抜けるとまた峡谷だが、これはヴェルドン川といい、ヴァール川とは別の流れである。トンネルの間で分水嶺を越えたようだ。11時47分、トラム・オートに停車。ここで対向列車を待ち、11時56分に発車。今度は峡谷を下って進む。峡谷は次第に開けて、森林が辺りに広がる。12時8分、サンタンドレ・レ・ザルプに停車。川はこの辺りで湖となり、町にはホテルやキャンプ場も多いようで、下車する人も多い。私も降りてみたくて仕方ないのだが・・・。

 列車はそんな景色には脇目もふらず、川とは分かれて再び山を登り始める。長いトンネルの途中までは上り坂であったが、途中から下り始める。12時15分、モリエ。12時27分、バレームに停車する。バレームの辺りにもキャンプ場があり、多くの乗客が降りる。列車はアッス川の蛇行する川筋に沿ってどんどん下る。12時37分、ショドン・ノラントに停車。近くには切り立った岩山も見えるが、川の周辺は比較的平坦になっている。12時43分、シャブリエールに停車。列車はアッス川とも分かれて、網の目のようになった細かい川筋の中を縫うように走る。12時50分、メゼル。13時ちょうど、ゴベールに停車。
 辺りはいよいよ平坦になり、大きな町が現れる。列車はブレオーヌ川を渡って右に曲がると、西から来た謎の線路と合流し、ついに終点のディーニュ・レ・バンに到着する。13時5分。約3時間40分という、普通列車にしては長い旅路であった。ディーニュ駅はホームは片側1面のみの小さな駅だが、構内はけっこう広い。西から来た謎の線路は、貨物線なのかもしれない。

 せっかくなので、ディーニュの街を少し歩いてみることにする。ブレオーヌ川に架かる花で彩られた橋を渡って少し見渡してみる。ディーニュは温泉保養地として知られているが、ホテルなどは多くあるものの、日本の温泉街とは全く雰囲気が異なり、日帰り温泉施設や娯楽施設があるわけでもなく、ちょっと来ただけでは何もすることがない・・・。もう少し歩けばレストランもあったようだが、がっつり食べる時間的余裕もなく、かと言ってファーストフードを食べるためにあまり歩く気も起らず・・・。ニース行きの列車に乗るために、すごすごと駅に引き返すのであった。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(2)

ディーニュ行き列車
2日目
(支線)ニース→アントルヴォー

 空はよく晴れている。国鉄線のニース・ヴィル駅を通り越して少し北へ歩く。朝市であろうか、街の一角に果物・野菜・花が並べられている。
 徒歩数分で、もう一つのニース駅にたどり着く。こちらのニース駅は人の出入りも少なく、うっかりするとそれと気づかないかもしれない。「プロヴァンス鉄道」という、その名もゆかしい鉄道の起点である。駅前には沿線のマップが描かれている。ホームにはパンタグラフのない2両編成の列車が既に入線、と言うか、1日にわずか数往復の運転であるから、運転していない時間はホーム上で待機しているに過ぎないのであろう。このような路線である以上、電化されているはずもなく、動力はディーゼルである。だが、デザインを見る限り、まったくローカル線らしくない洗練されたものだ。何だかプロヴァンスの矜持のようなものさえ感じる。

 前回の旅で乗ったタンド線と同様、このプロヴァンス鉄道(地元ではCP線と略されるようだ)もまた山へ向かう。それを暗示するかのように、線路の先には丘陵が見える。

 タイトルに示したように、この路線は私が西へ西へと向かうための路線(これを「本線」と呼ぼう)ではないのだが、全長約150kmにもおよぶため、1回の記事では書ききれない(もったいない)ので、これから数回に分けて書こうと思う。

 さて、9時頃になって列車の扉が開き、乗車可能になる。ホームで待っている人も少なく、余裕で1番前の座席に着く。発車前には既に検札も済んでしまう。言い忘れたが、この列車はプロヴァンス鉄道のもう一方の起点、ディーニュ・レ・バンへ向かう。

 9時26分、いよいよ発車する。ホームを離れた瞬間、線路は1本に収束する。次の駅Gambettaを通過(どうやら主要駅以外は、乗客がリクエストまたはホームに待っている人がいる場合を除くと通過する、いわゆるリクエスト・ストップである)すると、駅からも見えた丘の下のトンネルを抜ける。その後も断続してトンネルが続く。
 9時33分、Le Madeleineに停車。ここで初めての対向列車待ち合わせとなる。その後もトンネルが断続し、ニースの西を流れるヴァール川のほとりに出る。9時40分、Lingostiereに停車。ここで一気に満席になる。駅の構内には車両基地もある。しばらくはヴァール川沿いの開けた平地を北上する。その後も次々と乗客が乗ってくる。

 やがて平地は徐々に狭まる。特に川の西側は険しい山になっていて、その中に村が点在しているのが見える。10時3分、Levens Plan du Varに停車。
 対向列車を待つこと12分、10時15分にようやく発車。ここからは平地はなくなり、峡谷となる。小さなカーブが続くため、列車もよく揺れる。10時19分、La Tinee Arretに停車。トンネルを抜けると、ヴァール川に沿って今度は西に進む。

 10時34分、Villars sur Varに停車。村は丘の上にある。Touet sur Varを過ぎると、少し峡谷が開ける。やがて少し大きな町、ピュジエ・テニエに停車、10時55分。隣のホームにはトロッコ車両そしてSLが停車している!これは、週末に運行されるというピュジエ・テニエーアノ間のSLなのであろう。これに乗るためか、大勢の乗客がピュジエ・テニエで降りてゆく。
 列車はさらに峡谷を西に向かう。岩山の上に大きな砦が見え、麓には岩に溶け込みそうなが見える。11時4分、アントルヴォーに停車。

続く
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CP線ニース駅


アントルヴォー駅