ヨーロッパ横断鉄道旅行-第3弾(ブダペスト→ウィーン)(2)

ハーシュ山駅(2)
子供鉄道

 登山鉄道の駅からしばらく歩くと、"GYERMEKVASUT"と書かれた駅舎が見えてくる。これが子供鉄道のセーチェニ山駅である。駅の切符売り場で切符を買おうとすると、出てきた係員は子供であった。しかし、私の拙い英語も通じて無事に切符を購入できたのである。ここは、子供が乗るための鉄道ではなく、子供が運営している鉄道なのだ。

 ホームには、既に列車が入線していた。ディーゼル機関車に牽引された2両編成だ。運転しているのは子供、というわけにはさすがにいかないので、ここは大人の運転士が担当している。
 列車の出発間際、今度はSLが入線してきた。これにも乗ってみたくなったが、出発時刻や別料金かどうかもわからないので、とりあえず元の列車に乗る。

 出発の合図が出た。各車両に1つずつあるドアは完全な手動で、車掌が閉めて回る。列車が発車する。まもなく車掌が検札にやって来る。小学生くらいの女の子である。私の持っていた切符が硬券だったので鋏がなかなか入らず、両手に思いっきり力をこめてようやく鋏が入る。車内には補助役の大人も乗車しているが、原則として全て子供達が仕切るのである。
 列車は、NORMAFACSILLEBERCなどの駅を過ぎて森の中に入って行く。山々の山頂部を通っているので勾配はさほどないが、カーブが多く、列車のスピードはとてもゆっくりしている。森の中にはアスレチック施設など、子供の遊び場が多数ある。

 30分ほど後、列車はヤーノシュ山駅に到着する。私はここで下車して、ホームにつながっている階段を上る。しばらくして、左右に伸びる山道に行き着く。案内板もなく、どちらに進んだら良いのかわからないが、何となく人々が歩いて行く左へと進む。10分ほど山道を歩くと、道路と駐車場に行き着く。そして、そこからかなりの勾配の坂道を上ると、エルジェーベト展望台に到着する。
 エルジェーベトとは、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の后妃エリーザベトのことで、ここは彼女が作らせた展望台なのだ。ハンガリーを訪れた際には、ここによく遊びに来たらしい。
 標高527メートルのヤーノシュ山の山頂に建った展望台からの眺めを楽しむ。緑に覆われた丘陵地帯と、その中に帯となって広がる赤い屋根の住宅群が鮮やかなコントラストを成している。

 来た道を引き返してヤーノシュ山駅に戻る。駅に着いた時、さっきセーチェニ山駅で見たSLがちょうど発車するところだった。SLを見送った後、普通の列車に乗る。列車はSZEPJUHASZNEなどを過ぎて、ハーシュ山駅に停車する。ここでは対向列車が先に到着していた。単線では、このような列車の行き違いは安全上非常に重要だが、ここでも子供駅長が見事に仕切っていた
 ヤーノシュ山駅を出発してからおよそ30分後、列車は終点のヒューヴスヴルジー駅に到着する。早速切り離された機関車はホームの先の引込み線に進み、そこから折り返して反対側のホームを通って再び折り返し、今度は列車の反対側に連結する。そこを仕切るのはさすがに子供の仕事ではなかったようだ。

続く
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