東九州縦断鉄道旅行(15)

仙巌園(4)
青い海と桜島

 鹿児島中央駅前からシティビューに乗る。シティビューというのは、鹿児島市内の各観光地を結ぶレトロな雰囲気のバスだ。バスは城山を経由して、日豊本線に沿って東に進み、仙巌園に停車する。
 仙巌園は、薩摩藩主・島津家が建てた広大な屋敷である。豪勢な御殿や手入れの行き届いた庭園の素晴らしさもさることながら、借景となる桜島の景色は本当に美しい。近年は噴煙も多く、山の姿がこれほどクリアに見える日は意外と少ないのだそうだ。
 仙巌園の前には、尚古集成館という博物館が建っている。ここはもともと幕末期に島津斉彬が建てた機械工場であり、貴重な建物を残して内部を博物館にしている。

 仙巌園から再びシティビューに乗って移動する。今度は海沿いに進んで、桜島桟橋で下車する。その名の通り、この桟橋には鹿児島と桜島とを結ぶフェリー乗り場がある。フェリーは意外と大きく、たくさんの乗客と車両を収容できる。また、繁忙な時間帯には10分に1本程度運行されており、地元の人々にとっては身近な交通手段であるようだ。
 出港すると、鹿児島の岸辺が離れていく一方で、真っ青な錦江湾に浮かぶ桜島の姿がすぐに大きくなってくる。そしてあっと言う間に桜島の港が現れ、着岸する。所要時間はわずかに15分ほどだ。

 桜島のフェリー乗り場からしばらく海岸沿いに歩くと、遊歩道の入口に行き着く。ここはかつての噴火の溶岩が海岸に押し寄せた所だ。青く美しい海と、黒く醜怪な溶岩が不思議なコントラストを見せている。山の方を眺めると、中腹までは緑に覆われているが、上は岩石がむき出しになっているように見える。これは今でも衰えない火山活動のせいだろうか?
 一方で火山は温泉の源でもある。遊歩道の近くにも温泉施設があるので、さっそく入浴する。お湯には鉄分が多く含まれて濁っている。浴室からは、錦江湾を一望することができた。

 フェリー乗り場に戻り、再びフェリーに乗って鹿児島に戻る。桜島桟橋から少し歩いて水族館口の市電乗り場に行く。
 まもなく鹿児島駅前行きの電車がやって来る。現在の市電の主力・9500形の車両だ。わずか1つ停留所を過ぎると鹿児島駅前に到着する。ここは市電の東のターミナルなので、乗り場が3つもある。市電乗り場のすぐ目の前は鹿児島駅である。
 ここからは群元行きの電車に乗って西に戻る。乗ったのは1000形という新しい車両で、「ユートラム」という愛称がついている。電車は市役所の前や天文館を通って東に向かう。高見馬場で線路は二手に分かれるが、この電車はそのまま西に向かう。もう一方の線路は南に折れる。2つの線路は群元で再び合流する。電車は甲突川に架かる高見橋を渡って鹿児島中央駅前に停車する。私はここで下車する。今回の旅も、そろそろ終えることにしよう。

目次へ

"東九州縦断鉄道旅行(15)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント