日本横断鉄道旅行(最東端の駅→本土最西端の駅)(15)

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八甲田丸(1)

 青森駅は東北本線・奥羽本線・津軽線の発着駅であるが、これら3つの路線はいずれも青森駅から南へ伸びている(もちろん、その後で西や東や北へ向かうのだが)。駅の北には線路が無い。実は昔にはあったのだ。ただし、駅の北にある港までである。だから、青森県にはここより北の駅があるにもかかわらず、この駅の方が本州の北の「果て」という感じがするのだ。
 その港には、かつて青函連絡船が往来していた。そして今、港の片隅に鎮座しているのは、その連絡線として活躍していた八甲田丸である。現在は青函連絡船関連の博物館になっている。
 連絡線の歴史やゆかりの品々を見た後、今も保存されている客室の座席に座って外を眺める。急に雨が降り始めたようだ。私はここに来て、ようやく北海道を離れて本州へ移った実感が湧いてきた。この連絡線に乗ったことが無い私は、ここに座ったであろう多くの人々のことを想う。別離の悲しみや出会いの期待を、この窓から見る海に語りかけたに違いない。
 私の脳裏には、もう一つの連絡線の物語が浮かぶ。これは実際に私が見たことだ。今から十数年前、私の住む町から発着していた連絡線が廃止された。その最後の日、記念航海が行われた。私の住む町から2隻、対岸の町から2隻の連絡線が出航した。4隻の船は沖合いで合流し、一斉に汽笛を鳴らす。そして別れて行った。これら4隻が一同に会することはもう二度とない。港に戻り、下船する乗客たちは口々に「ありがとう」と叫んだ。それを見送る船長さんは泣いていた。この八甲田丸にもこれと同じような物語があったのだろう。
 いつまでも物思いにふけっていたいが、時間も無いので、階段を下りて下の甲板に向かう。

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続く
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