ヨーロッパ横断鉄道旅行-第9弾(ヴェネツィア→フィレンツェ)(14)

ヴェッキオ宮から見たフィレンツェ市街
10日目

オフィス

 朝、空は曇っていたが、張り切って観光に出かける。8時30分にオープンするはずのツーリスト・インフォメーションに行ってみたが、この日は日曜のため休みだった・・・。仕方なく、シニョリーア広場に行き、広場の一角にあるヴェッキオ宮が9時に開くのを待つ。
 9時、ヴェッキオ宮に入り、チケットではなく、フィレンツェ・カードを買う。わざわざツーリスト・インフォメーションに立ち寄ろうとしたのは、これが早く欲しかったからだ。今までご当地カードについては数多く書いてきたので大抵お察しであろうが、フィレンツェ・カードはフィレンツェの美術館・博物館・公共交通のチケットがセットになったものだ。もちろん価格がお得ということもあるが、特にフィレンツェについてはメリットが大きい。これについては、少し後で述べることになる。

 1階のチケット売り場から階段を上がると大広間に入る。ヴェッキオ宮はかつてフィレンツェ共和国の政庁であった。大広間はその会議場だった場所で、天井も壁も絵画で覆いつくされ、見るものを圧倒する。特に壁の絵画は巨大である。3階は後に共和国から公国に変わったフィレンツェの君主で、トスカーナ大公となったコジモ1世の住居である。小さいながらも天井に壁に絵画が飾られた部屋が続く。
 最後に塔に上る。階段がきつい・・・。だが、ここからはドゥオーモを中心に赤い屋根の連なるフィレンツェの市街を一望することができる。

 ヴェッキオ宮に隣接するのは、フィレンツェ公・トスカーナ大公となったメディチ家の事務局(ウフィツィ=オフィス)で、今ではフィレンツェを代表する美術館となったウフィツィ美術館である。「オフィス」と聞くと仕事に戻ってしまうような錯覚を覚えるが、実際ここに入るのは一仕事である。
 まず準備として、日時を指定された前売券を購入する必要がある。前売券を入手できなければ、当日券を購入しなければならないが、当然ながら窓口は長蛇の列だ。ところが、フィレンツェ・カードにはウフィツィ美術館のチケットが予め組み込まれているため、これを持っていると好きな時に入ることができる。
 美術館の入口は二手に分かれている。1つは当日券購入者用、もう一つは前売券とフィレンツェ・カードの購入者用である。もちろん後者の方が空いているのだが、それでも並び始めてから入場するまでに30分以上かかった・・・。
 ようやく中に入ると、回廊に沿って展示室がずらりと並ぶ。収蔵品の量には圧倒される。ボッティチェリの作品群など優れたものも多いが、私の感想では、全体として他のイタリアの美術館に比べると質はそれほどでもない気がする。

 人でごった返す「オフィス」を脱出して昼休み。フィレンツェには安いレストランが多いという印象がある。その理由はセットメニューが多いからであろう。例えば、この日の昼食のセットは、ミートソースのペンネ、ステーキ、サラダ、アイスクリーム、グラスワインであったが、これで15ユーロである。他の都市に行けば30ユーロは下らないと思われる。

 午後は、アルノ川の対岸に渡ってみよう。アルノ川に架かるヴェッキオ橋を渡る。この橋は、橋の上に建物がびっしり並んでいて、観光名所になっている。これらの建物の多くは宝飾店なのだが、その上を貫く回廊が存在する。このヴァザーリの回廊と呼ばれる回廊は、実はウフィツィ美術館から伸びているのだ。橋の上では1階がびっしり埋まっているが、それ以外の部分では1階は空洞で、ポルティコになっている。

 橋を渡り、少し坂を上るとピッティ宮だ。宮殿前の広場では、人々が日向ぼっこをしている。この感覚は、陽光に恵まれ過ぎてむしろ避けたがる日本人には理解しづらいものがある。
 切り石がびっしりと積まれたが辺りを囲み、威厳を感じさせる。それは、ここがトスカーナ大公の宮殿であったからであろう。ウフィツィ美術館から伸びてきた回廊は、実はこの宮殿につながる。回廊は言わば大公の「通勤路」であったのだ。
 広い宮殿内にはいくつもの博物館と庭園がある。もちろん、これらの施設もフィレンツェ・カードで入ることができる。(ただし、入場前に宮殿北隅にある本屋でバリデーションが必要だ。)

 まずは、パラティーナ美術館へ。壁が赤いゴブラン織りで覆われた部屋に、ラファエロをはじめとしたイタリアの巨匠の作品が無数に並んでいる。天井画も素晴らしい。
 銀器・陶磁器博物館はなぜか閉まっていた・・・。近代美術館へ。その名の通り近代イタリアの絵画を中心にしたコレクションで、こちらも見応え十分。残念なことに、パラティーナ美術館を見た目でそのまま見てしまうと、少し食傷気味になってしまう。展示室では一般客の入った状態でモデルを使った写真撮影をしており、これもイタリアらしい。(フェラーラでの出来事を参照。)疲れたので、庭園は見ずにホテルに戻る。

 夜、食事に出かける。トスカーナ料理の店を選んで入ってみた。前菜は生ハム&メロン、パスタはスパゲティ・ポモドーロ、メインは豆とミートボールのトマトスープ。パスタの注文時にあえて「アルデンテ」と言ってみたところ、スパゲティがアルデンテで出てきた。地域によるのかもしれないが、今まで私が旅行してきた範囲では、何も言わなければスパゲティはフニャフニャで出てくる。この一言は重要である。

続く
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