東四国鉄道旅行(2)

総踊り
鳴門←→徳島(鳴門線・高徳線)
優雅と熱狂

 鳴門駅近くのホテルにチェックインしてベッドに四肢を伸ばしたのも束の間、急いで駅へと引き返す。バスが予想外に遅れたため、列車の発車時間が近づいていたからだ。
 鳴門駅の島式ホームは、既に大勢の乗客で溢れていた。ここは鳴門線の終着駅であり、線路の続く先を見やれば、車止めとその向こうのフェンスが行く手を阻んでいる。
 しばらくして列車がやって来る。キハ40系と思われる3両の列車だ。池谷方面からやって来て、ここで折り返し徳島行きの普通列車となる。先頭車両のドアは開かない。ホーム長が短いためだ。
 18時6分、列車が発車する。ほぼ満員の状態だ。撫養、金比羅前と順々に停車して行くが、乗客の乗り降りはほとんどない。混雑が解消されるわけではないが、これ以上ひどくもならない。池谷から高徳線に合流する。そして18時57分に徳島に到着する。

 徳島駅前から少し歩けば、道路は人ごみに埋め尽くされ、移動もままならなくなる。やがて、どこからともなく鉦や太鼓の音が聞こえてくる。もう祭りが始まっていた。
 本当は徳島市内に泊まりたかったのに鳴門に泊まらざるを得ないのも、鳴門線があんなに混んでいたのも、阿波踊りが開催されているからだ。
 何も考えずにただブラブラと町を歩くだけで、踊っているたくさんのグループ(連)に出会うことができる。今まで、阿波踊りは月並な盆踊りの一種のように思っていたが、それは間違いだった。一目見ただけで、かなりの修練を必要とする「プロ」の技だということが素人目にもわかる。また、序破急とテンポを変えながら演奏される鉦や太鼓の囃子は腹に響き、魂の底から揺さぶられる心地がする。もちろん限定された範囲内ではあるが、通りのあちこちで敢行される踊りの「ゲリラライブ」は、町中を熱狂的な空間へと変えてしまう。

 このように通りを歩くだけでも楽しいのだが、私は有料の演舞場で踊りを見物することにした。演舞場と言っても、閉じられた劇場のような場所ではなく、祭りの期間中だけ、通りを挟んで桟敷席が設置されている場所である。各連は、桟敷席に挟まれた通りを踊りながら練り歩いて行くのだ。
 ダイナミックな動きの男踊り集合分散を繰り返しながら優雅な動きを見せる女踊り、そして奴凧に見立てた踊り手が激しく動き回る奴踊りなど、レベルの高い踊りが次々と目の前で繰り広げられる。そして、最後は参加した全ての連が一気に登場する総踊りとなる。夢のような時間が過ぎて行った・・・。

 演舞場での「ショー」が一応終わった後も、一部の踊り手達は踊り続けていた。22時を過ぎ、熱狂もだいぶ収束しつつあったが、街中のあちこちで「余熱」がくすぶっていた。

 徳島駅に戻り、鳴門行きの普通列車に乗る。23時10分に出発する。思えば、朝からろくに休んでいなかった。それに夕食も食べるどころではなかった。今になって、どっと疲れが出てくる・・・。0時過ぎ、鳴門に到着する。通りの建物からは灯りが消え、街灯の灯りがわずかに見えるばかり・・・。

続く
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