シルクロード鉄道旅行-第4弾(ウルムチ→アルマティ)(16)

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遥かなる日本へ

 アルマティから日本に帰るのは、そう容易ではなかった。

<アルマティ空港へ>
 まずアルマティ空港に行くのが大変だ。前にも書いたように、この国には正規のタクシーがほとんど無い。地元の人々は町中を走る車を呼び止めてタクシー代わりにしてしまう。これは言葉のわからぬ外国人には難しい技だ。だからバスを利用するしかない。
 バス停には必ずと言ってよいほど屋根とベンチが設置されていて、売店まである。だが、肝心のバスの情報がとても少ない。どのバスが来るのかは書かれていても、時刻表や運行経路の情報が無いのだ。ガイドブックをよく見ると、"492"という系統のバスが空港に向かうらしいということがわかる。
 そこで、"492"バスが停車するらしいジェルトクサン通りのバス停を見つけて待つ。いろんな系統のバスがやって来るのだが、バスはバス停に横付けせず、道の真ん中に停車したりする。人々は目当てのバスが近づくのを見つけると、バス停から飛び出して乗りに行くのである。初めはそのタイミングがわからず、"492"バスに一度乗り損ねてしまった・・・。ようやく次の"492"バスが接近。今度は間に合った。
 バスはワンマンではなく、車掌さんが乗っている。彼は乗客がどこから乗ったかを覚えていて、行き先を聞いては料金を徴収している。空港行きのバスなのに、旅行者風情の乗客は私くらいしかいない。バスが市街地を出て北に向かうと、左手に単線の線路が見えてくる。これはアルマティ1駅から2駅に向かう線路のようだ。この線路の上を走る列車に揺られていた2日前のことを夢のように思い出す。
 バスが終点に着く頃には、車内はガラガラだった。単に空港を発着しているだけの生活路線バスなのだろう。バスを降りてみると、しかしそこは空港ターミナルではない・・・。周辺にはまたもや警官がウロウロしているので空港近くであることは推測されるのだが。とりあえずバスの進行方向に向かって歩くこと数百メートル、ようやくターミナルが目の前に現れる。
 全く歩道の無いゲートや駐車場を横切ってターミナルの中に入ると、いきなりセキュリティチェックが待ち構えている。それを抜けて、ようやく出発ロビーへ。飛行機へのチェックインが済むと、その次が出国審査だ。2006年現在、日本とカザフスタンとの間に直行便は無い。だから私の乗る便は中国・ウルムチ行きである。

<出国不可?>
出国審査官:「中国へ行くんだろう?ビザが無いよ。」
私:「日本人は中国のビザが不要だよ。(パスポートをめくりながら)ビザは無いけど、中国への出入国記録はたくさんあるでしょう。」
出国審査官:「そんなわけないだろう。そこで待っていろ。」
(審査官、奥へ引っ込む。待つこと数分・・・)
出国審査官:「何だかよくわからんが、まあいいだろう。でも、日本人はなんでビザが不要なんだ?」
私:「知らないよ・・・」

<アルマティ→ウルムチ>
 飛行機への搭乗直前に再度セキュリティチェックがある。機内に入った時は、既に日が暮れようとしていた。窓の外にはアラタウ山脈の姿が昼間よりも鮮明に見える。19時45分、ウルムチ行きの飛行機が出発。窓の下には大平原とカプチャガイ湖が広がる。やがてそれらも雲の下に隠れ、空は闇に染まってゆく。
 ウルムチに着いたのは北京時間の23時20分。実際のフライト時間は1時間30分程度だが、北京時間はカザフ・アスタナ時間+2時間なのでこの時間になるのだ。カザフ出国時にもめたので少し心配だったが、中国への入国手続は全く問題無く完了した。
 タクシー乗り場に向かうが、並んでいるタクシーの姿は無い・・・。仕方なく、客引きのタクシーと交渉。通常よりかなり高いが、選択の余地が無い。初めに値段を決めてあるので、回り道などされずにまっすぐホテルに向かう。今まで夜のウルムチを出歩いたことは無かったが、紅山公園の夜景がとても美しいことに初めて気づいた。

<8日目:ウルムチ→上海>
 ホテルの窓から見るウルムチの風景がとても良い。上海行きのフライトは夜なので、午前中はホテルで過ごし、午後になって新疆ウイグル自治区博物館に行く。この博物館はに行くのは3度目だが、一人で行くのは初めてだった。一人でじっくり見学すると、この博物館のコレクションの多さに改めて驚く。また、平日だからか見物客も少なく、誰もいない展示室で「楼蘭の美女」をじっくり見物できたのは痛快だった。この「美女」はかつて来日したらしいが、日本ではこのような状態でお目にかかれることはまずあり得ないだろう。
 夕方、ウルムチ空港に向かう。空港は、新疆土産のぶどうの箱を抱えた人々でごった返している。ここで、また日本人の旅行者(仮にBさんとする)に出会う。Bさんは今回で中国が初めてなのだが、にもかかわらず新疆、しかもその西端のカシュガルまで行ったという。ここにもまた一人猛者がいたのだ。
 上海行きの飛行機は19時に出発。窓の外には天山山脈の山並みが現れ、その中に白く美しい峰が突出している。おそらくこれがボゴダ峰に違いない。以前に行った天池は、この中腹にあるのだ。やがて山々の姿は背後に消え、眼下には広大な砂漠が広がる。そして空は闇の中へ。
 上海の虹橋空港に着いたのは23時20分。そこからタクシーでホテルに向かったのだが、私の持っている地図が悪かったのか、運転手さんはホテルを見つけるのに四苦八苦。ようやく着いた時には既に0時30分近くだった・・・。ホテルの部屋は広かったものの、深夜でボイラーが止まっているのか風呂の湯が出ず・・・。

<9日目:上海→成田>
 前日は深夜にチェックインしたにもかかわらず、この日は6時にチェックアウトというハードスケジュールぶりだ・・・。リニアが運行していない時間なので、タクシーで浦東空港へ向かう。こんなに早起きしてきたのに、9時過ぎに出発予定の飛行機は30分も遅れてしまった・・・。飛行機の隣の席にBさんがいたのでびっくりする。思えば今回の旅行では、いろんな旅行者とご縁があったことが最大の収穫と言えるだろう。次回はどんな旅になるのか想像しながら、たまった疲れを少しでも取り除くべく私は眠りについた。

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