ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(10)

マナローラ(2)
五村(その4)

 ヴェルナッツァ駅に向かう。ここも案の定大変な混雑である。だが、以前に書いた通りヴェルナッツァ駅はホームの地上部分はわずかで、その多くがトンネル内にある。モンテロッソ駅と同様、ここでも「トンネルの法則」は有効だった。やはりトンネル内の人は少ない。

 16時45分、ラ・スペツィア行きの列車は約15分遅れで到着。おそらく混雑のせいだろう。もちろん、すぐに反対側の長いトンネルに入る。トンネルを抜けるとコルニ―リアに停車。ここもチンクエテッレの一つだが、村が駅から遠いので訪問は諦める。再びトンネルに入り、そこを抜けると、マナローラに停車。17時ちょうど。ここで下車する。
 マナローラ駅もまた前後をトンネルに挟まれている。ジェノヴァ寄りにある山が駅と村とを隔てており、ホームから村側の出口に向かうにはトンネルを通らねばならない。

 マナローラもまた、断崖に囲まれた小さな漁村である。山から続く小さな通りが、断崖にわずかに穿たれた入江に続いている。とりわけ入江の海に向かって左側(南側)の崖の上に人家が密集しており、これが独特の素晴らしい景観を作っている。
 この入江を眺めながらの夕食は格別だ。ルッコラ・チーズ・トマトのパスタ、シーバスのグリル、ワインはその名も5 Terre(チンクエテッレ)というDOCの白ワイン。

 夕闇が迫った海岸のホームから、ジェノヴァ方面行きの列車が発車する。絵になる景色だ。しばらくして、反対側のホームにラ・スペツィア行きの列車が到着する。18時48分。10分遅れである。夜になってもまだ列車の遅れは解消していないようだ。
 列車はすぐにトンネルに入る。短いのですぐに抜けるとリオマッジョーレに停車。ここでも大勢の観光客が乗り込む。そして今度はひときわ長いトンネルに入り、ポルト・ヴェネーレのある半島の根元を貫く。私のような観光客にとって、これは日常と非日常の境であるように思える。トンネルを抜けると、日常の世界、大きな町が見えてきた。19時ちょうど、ラ・スペツィアに到着する。長く、そして楽しい一日が終わった。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(9)

ドーリア城から(2)
五村(その2 もう一度)

 リオマッジョーレで再度モンテロッソ行きのフェリーに乗る。ここが始発だからけっこう空いていて、先ほどはあまり見られなかった海岸側の景色もよく見える。フェリーはリオマッジョーレを後にすると、北上してマナローラに向かう。マナローラの手前で、トンネルが少し途切れる区間があり、マナローラの駅はここにある。列車がちょっと息継ぎするかのように姿を現す。

 フェリーはマナローラを出るとさらに北上する。コルニ―リアの丘を過ぎ、やがて塔の建つ岬を通過すると、ヴェルナッツァだ。ヴェルナッツァに再び上陸する。
 先ほどは山の方に向かったが、今度はあの岬に行く。建っている塔は、ドーリア城という城の塔であった。塔の上から眺めると、真っ青な海と断崖が織りなす景色、そしてヴェルナッツァの港を間近に見下ろすことができる。高所恐怖症ではなく、その美しさに思わず足がすくむ。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(8)

ラ・スペツィア行き普通列車(リオマッジョーレ駅)
折返

 モンテロッソ駅に行く。ホームには既に多くの人々が列車を待っているのだが、よく見るとホームのジェノヴァ寄りはトンネルに入っていて、この辺りには人がほとんどいない。車両編成の長短もあり、この辺りに停車するかどうかはわからないが、賭けのつもりで待ってみる。
 前後の状況から考えておそらく混雑のせいなのであろう、ラ・スペツィア行きの列車は予定より10分以上遅れて14時12分に到着。車両の最後尾はトンネルの中だ。車内もガラガラ。どうやら賭けには勝ったようだ。

 列車は発車後すぐにまたトンネルに入る。抜けたところは、前回見たモンテロッソ旧町内の浜辺だ。そしてまた、トンネルに入る。今度は長い。と思っていると、列車は徐行になり、そして停車してしまう。ここはヴェルナッツァの駅だったのだ。ヴェルナッツァ駅は狭い谷間にあり、ホームの大部分がトンネル内に入っているためである(写真参照)。
 列車は一瞬地上に出たかと思うと、また長いトンネルに入る。しばらくして、ようやく抜けたかと思うと、列車はスピードを落とすことなく駅を通過。ここは?コルニ―リアだ。そしてまたトンネル。抜けると駅だ。しかし通過。マナローラである。今度もトンネル。だが、すぐに列車は徐行となり、やがて停車。リオマッジョーレだ。14時30分。チンクエテッレの景色を楽しむには、残念ながら鉄道は不向きだと認めざるを得ない。

 列車を降りると、そこはトンネルの中だった。前方に向かって歩き、駅舎の方に行くと、大勢の乗客でごった返している・・・人出の中をかいくぐるようにして、港へ向かう。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(7)

モンテロッソ(5)
五村(その3)

 急いで港に戻ったものの、モンテロッソ行きの船は結局5分遅れで13時ちょうどに出発。次の港であり、終点のモンテロッソにはすぐに到着。
 港の目の前には小さな岩山が聳えているが、今までの村に比べると、ここははるかに開けている。ビーチを横切る高架の線路を、ちょうど今列車が通過する。高架のすぐ脇には広場があり、ここから山の方に向かってモンテロッソの集落が続いている。しかし、駅はここにはない。

 駅に行くには、集落の西側を画す山を越えねばならない。車も通る狭いトンネルを抜けると、そこには新たな景色が広がる。海の中に直角三角形の岩が居座り、あたかもその先端から砂が湧き上がって両側に広がっているようだ。
 ビーチのすぐ脇の通りにはホテルや飲食店が立ち並び、リゾート地の雰囲気に満ちている。モンテロッソ駅も、この並びにある。とりあえず軽く昼食をとる。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(6)

ヴェルナッツァ
五村(その2)

 リオマッジョーレの船着場に戻り、モンテロッソ行きの船に乗る。本来11時35分発予定だが、混雑のせいで出発は12時前になる。
 船はすぐ北隣の村・マナローラに到着。切り立った崖が半円形の入江を囲んでいる。南側の崖の上には所狭しと住宅が並ぶ。とても心惹かれる村だが、スケジュールを考え、とりあえず素通りする。
 崖が海に迫る海岸をさらに北上する。マナローラの北隣にある村・コリニーリアは崖の上にあるので船着場はなく、通過。やがて、海に突き出た崖の上に円筒形の塔が現れる。船は崖の先に延びる堤防をぐるりと回ると、少し大きな入江に入って停泊する。12時15分。私もここで下船する

 港に面した教会の時計台が印象的なこの村の名はヴェルナッツァ。リオマッジョーレに比べて土地が開けている感じがするが、港から少しだけ坂を上がり、を過ぎると、すぐに狭い谷間となる。海岸の山腹を縫う列車は、このわずかな谷間に停車するのである。
 谷間を囲む両側の山に登っているうちに、あっという間に時間が過ぎる。次の船が出るので急いで港へ。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(5)

リオマッジョーレ
五村(その1)

 フェリーは真っ青な海原を白く裂いて進む。陸側を見ると、何と断崖の上に家々が寄り集まる小さな村が見える。海に極限まで近づきながら海までの道のりは非常に「遠い」、そんな村なのであろう。
 やがて景色は変わり、今度は海に「近い」村が現れる。そしてフェリーは大きく右旋回して、その村に近づいてゆく。

 岩場の先にフェリーは器用にも着岸した。狭い岩場をしばらく歩くと、現れた景色に思わず息を呑む。小型のボートくらいしか入れない小さな入江、そのわずかな入江も逃すまいとばかりにぐるりと周囲を取り囲む3~4階建ての家々。別に被写体にするために建てたものではないだろうが、結果としてとても絵になる景色になってしまった。

 断崖が海に迫り、平地の少ないリヴィエラ海岸南部に点在する五つの村。これらを総称して「チンクエテッレ」(五つの村)と言う。ここリオマッジョーレは、その最南端の村だ。入江から坂道を上っていくと、沿道には土産物を売る店やレストランが軒を連ねる。元は小さな漁村だったと言うが、今ではすっかり観光地化されている。
 坂道を上りきったところにトンネルがあるので入ってみる。には海をモチーフにしたタイル壁画が描かれている。

 トンネルを抜けたところは、何とだ。三方を山に囲まれたリオマッジョーレ駅は、線路の走る二方がトンネル、海の反対側には城壁のような高い壁が聳え、そこにも壁画が描かれている。
 シーズン中には1日に何便も着岸するフェリーの乗客に加え、ラ・スペツィアからわずか1駅の距離にあるこの駅にも、大勢の観光客が押し寄せる。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(4)

ポルト・ヴェネーレ
3日目

女神
 ラ・スペツィアの港には朝の強い日差しが降り注ぐ。プロムナードのソテツの並木が南国風情を醸し出す。

 フェリーの切符を買って乗り込む。朝1番の便なのに(だから?)早くも混雑していて、10分遅れの9時25分に出港する。船はラ・スペツィアの港内をゆっくり離れ、半島の先端に向かって南東に進む。

 やがて、半島の先端部、パルマリア島との間の狭い海峡に船が入ると、その先に街が見える。その街の姿は次第に大きくなり、ついには全貌を現す。
 丘の上の城塞、その真下には塔のある教会、さらにその下にはカラフルな家々が港まで広がっている。これが「女神の港」という意味を持つポルト・ヴェネーレの街である。船は、ちょうど10時に投錨。私は下船したくてたまらなくなったが、何とかこらえる。船は数分後に出港。

 もともと狭い海峡が、ますます狭くなる。半島側の岸辺は岩で覆われているが、それと同化するように壁が聳え立ち、その上に何かが建っている。教会だ。この教会(サン・ピエトロ教会)は、ちょうどラ・スペツィア湾とリグリア海を画する岬の上にある。だから船が教会の前で大きく右カーブすると、途端に揺れが大きくなる。外海(リグリア海)に出たのだ。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(3)

ラ・スペツィア港
玄関

 駅前の通りを左に向かうと、道は緩やかな下り坂になって港に向かっている。私の泊まるホテルは、この通り沿いにあるはずなのだが、それらしき看板もない。ようやく指定された住所に着くと、そこは普通のアパート。こういう経験はヨーロッパではもう何度かしていたので、迷わずベルを押す。
 中へ入ると、そこにはフロント氏が待っていた。意外だったのは、ロビーはあるが、フロントデスクがないことだ。全ての客室がロビーと接している。つまり、その程度しか部屋がないのだ。あらかじめ時間を決めて待ち合わせねばならなかったのはこういう事情によるのだとようやく得心した。

 夕方、出かける。ラ・スペツィアは海と山に囲まれた町で起伏が多い。そしてこれは、ここから北に続くリヴィエラ海岸の特徴であるとも言える。ラ・スペツィアはリヴィエラの玄関なのである。

 まずは町の真ん中にある丘に登ってみよう。途中の道にはおしゃれなマンションが立ち並ぶ。別荘として所有している人も多いのであろう。丘の頂上には、サン・ジョルジョ城が建っている。現在では考古学博物館らしいのだが、来るのが遅かったため既に閉まっていた。
 丘からは、ラ・スペツィアの港と、この町を囲む山々を眺めることができる。
 面白いのは、この丘へ通じる「エレベーター」がいくつもあることだ。「エレベーター」の箱や乗り降りの仕様は、まさにエレベーターそのものなのだが、その経路を見る限り、これはミニケーブルカーである。

 丘から下りて、今度は港へ行こう。海岸でのバカンスシーズンは始まったばかりだが、もう大勢の人出がある。見た目も美しい開閉式の桟橋から眺めると、港に係留されている無数のクルーザーが見える。人も船も、海へ出ようとうずうずしている。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(2)

ミラノ行きIC(ピサ駅)
ピサ→ラ・スペツィア

 13時40分、ミラノ行きのICが到着する。コンパートメントではない通常の座席だ。13時43分に発車。
 西向きの線路は、すぐに南北に大きく分岐する。左側すなわち南に折れれば、ガリレオ空港の西側を通って、前回の旅の経路すなわちリヴォルノ、さらにはローマに通じる路線。右側すなわち北に折れれば、ラ・スペツィア、そしてジェノヴァへと向かう路線だ。列車はゆっくりと右にカーブしてアルノ川を渡る。
 斜塔のあるドゥオーモ広場を左手に見ながら、線路はさらに分岐する。右に向かえば、ルッカへの路線だ。列車は左に向かい、サン・ロゾーレ、さらにたくさんの貨車が並ぶ広い操車場を通過する。

 風景は早くも都市から広大な畑や森に変わる。そしていつの間にか海に近づいていた。14時ちょうど、ヴィアレッジョに停車。いかにも港町らしい景色だ。

 列車は再び内陸に向かう。右手に雲のかかる大きな山地が近づいてくる。ピエトラサンタやクエルチェタを通過して、14時17分にマッサに停車。ピサを先行して出発していた普通列車にここで追いつく。

 マッサを発車後、すぐに大きな工場が現れ、線路脇には貨物駅らしいホームが並ぶ。書かれている駅名は、ずばり"Zona Industriale"(工業団地)である。
 列車はサルザナを通過すると、マグラ川を渡る。山の上に街が広がるのが見える。しばらく北西方向にマグラ川を遡って進むが、やがて大きく左に分岐してトンネルに入る。ちなみにここを右に分岐すると、さらにマグラ川を遡り、アペニン山脈を越えてパルマへと至る路線となる。乗ることを想像するだけで楽しいが、以前経験したように鉄道が運休していないことを祈るのみである。
 さて、列車はトンネルを抜けると今度は南西に大きく向きを変える。この辺りはかなり複雑な地形のようだ。トンネルも断続する。そして、14時39分、列車はラ・スペツィア中央駅に停車。私は、ここで下車する。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(1)

アルノ川
1日目・2日目

散歩
<1日目>
 やっぱりグダグダだ。ここはローマのフィウミチーノ空港。ピサ行きの便のゲートがオープンしたものの、行列は一向に進まない・・・。そしてようやくバスに乗り込んだと思ったら、全く発車する気配がない・・・。唯一安心なのは、このバスに機長が乗っていることで、これなら少なくとも飛行機に置き去りにされることはないであろう(笑)。
 だが、意外にも飛行機は定刻よりわずか10分遅れの21時45分に出発する。成田からローマまでのフライトの疲れがたまっていたのか、すぐに眠りこけてしまう。そして、到着もきっちり10分遅れの22時45分。着陸して、ようやく太平の眠りを覚ます。
 到着したのは、その名もガリレオ・ガリレイ空港。確かにピサと言えば、この人くらいしか思いつかない。アルノ川の南岸で、ピサ駅よりさらに南にあり、市バスLAMの発着点になっている。だが、この時間には既に運行が終了しており、市内へのアクセス手段はタクシーしかない。
 ヨーロッパでタクシーに乗るのは、実はこれが初めてだ。深夜だからか、メーターがぐんぐん上がる・・・。結局通常料金の2倍になったわけだが、端数は値切ってくれた。こういう「適当さ」は非常にありがたい(笑)。

<2日目>
 ピサの駅前から市バスLAM Rossoに乗り、ドゥオーモ広場へ。ピサを代表する観光名所だが、前回の旅で訪れた場所だから、今回は長居しない。ここから南東に歩いて、カヴァリエ―リ広場を通って、アルノ川の岸に出る。ピサはアルノ川の水運と海運を結び付けた貿易で繁栄した町であるから、ここにはその繁栄を偲ばせる古くからの街並みが残っている。
 川沿いに東に進もう。まずはサン・マッテオ美術館に入る。ここは元々修道院で、ゆえに聖母子像を中心とする宗教絵画のコレクションが優れている。
 ここから川は急に南へカーブする。そのカーブの地を占めているのが、サン・ガッロ要塞で、今では公園になっている。
 ここで踵を返して北に戻り、メッツォ橋まで行く。この橋の辺りは特に眺めが良く、橋のたもとにはロッジもあって、今でも市場が開かれている。橋から伸びる通りのポルティコも、また風情がある。

 歩き疲れたのでバスに乗り、へと向かう。

続く
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