ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(16)

日本館
7日目

万博

 旅の最終日は、その当時(2015年)開催されていたミラノ万博に行った。

 ミラノ中央駅からトリノ行きの快速列車に乗る。列車は発車後すぐに環状線に入り、西に向かう。この路線は初めてである。そして環状線から離れて少し北西に進んだところで最初の停車。ここがRHO Fierraという駅で、国際展示場すなわち当時の万博会場の最寄り駅であった。ここまで約10分。ミラノの中心部から至近距離にあると言える。改札前のスペースはとても広く、特に帰りの混雑への対応を想定しているようだ。

 万博の開場は10時だが、それを前にして入口は既に来場者でごった返している。
 ようやく10時になった。来場者が一斉になだれ込む、と言いたいところだが、そうはいかない。なぜなら、入口で一人一人ボディチェックを受けているからである。近年のテロの影響は、こんなところにも影を落とす。

 さて、この万博のテーマの一つは食であった。食から農業、さらには環境問題への理解を促すということのようだ。しかし、胃袋を一生引っ提げる宿命にある人間は、目の前のニンジン、いや、世界各地のグルメに目も心も奪われてしまう。かくして私も・・・。

 手始めにチェコ館でピルスナー、次いでベルギー館で黒ビールとベルギーフライ。オランダ館ではハイネケンとパティが全てチーズの「チーズバーガー」。そして、南米のビーフの臭いに誘われ、最後はイタリアワインのテイスティングで終わる。
 食べる合間に、日本館(待ち時間を表示していたのはここだけだ)やトルコのゆるキャラを見たりして過ごす。夕立もあったが、通路に広く屋根を渡しているので気にならない。

 気が付くと、もう夜だった・・・。夢から醒めたように万博会場を出て駅に向かう。何気なく電光掲示板を見て驚く。ダイヤが大幅に乱れているのだ。日本とは異なり、イタリアではダイヤが乱れた時も館内放送などの「音」はほとんどない(放送があったとしても、私には聞き取れないのだが・・・)。だから駅の様子も普段とはあまり変わらないのである。
 ミラノ中央駅へ向かう列車の本数が多いおかげだろうが、駅ではそれほど待つことなく、予定より約90分遅れで到着した列車に乗り込む。なんとなく疲れた表情の人が多い。約15分でミラノ中央駅に到着。
 どことなく殺伐とした雰囲気になった駅をさっさと出ると、街の夜景を見てほっとする。

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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(15)

ミラノ行きThello(ジェノヴァ・プリンチペ駅)(1)
ジェノヴァ→ミラノ

 そして私は、ジェノヴァ・プリンチペ駅に戻ってきた。ホームに降り注ぐ日差しは、17時とは思えないほど強い。17時5分、その太陽のある方向、西側から、列車が入線する。イタリアのテッロ社が運行する国際特急で、フランスのニースからミラノへと向かう。後ろから2両目の一等車に乗ると、座席は2列・1列でとてもゆったりしている。

 17時21分、ジェノヴァ・プリンチペを発車。列車は進行方向を西に変える。したがって、私が乗っている車両も前から2両目になる。すぐに駅西側の丘の下のトンネルに入ると、ここで分岐。西のニース方面行きの列車や各駅停車はすぐにトンネルを抜けて海岸に出るが、北方行きの特急列車はなおもトンネル内を進む。ようやくトンネルを抜けた時は、北から流れるポルチェヴェラ川が左手に流れている。
 川を渡ると、今度は右手の川向こうにも線路が見える。これはジェノヴァと北方を結ぶ在来線で、この列車が進むのは特急専用線である。トンネルが断続する渓谷の景色がしばらく続く。

 渓谷の中で、いつしかジェノヴァのあるリグーリア州からピエモンテ州に入っていた。やがて渓谷が開けてきて、在来線と合流する。線路もまっすぐになり、列車のスピードもぐんぐん上がる。アルカータ・スクリヴィアを通過。再び在来線と分かれると広大な草地の中を単独で北に直進してトルトナを通過。いったんアレッサンドリアを経由する在来線と合流する。ここからはまっすぐ北東に進み、18時10分ヴォゲーラに停車。

 列車はヴォゲーラを出発するとすぐに左に分岐して、さらに北東に進む。ちなみに、ここを右に分岐するとまっすぐ東に向かい、ピアチェンツァに至る。
 やがて北イタリアの大河・ポー川が現れ、列車はそれを渡る。左からは、これもアレッサンドリアからの線路がやって来て合流し、ティチノ川を渡る。そして18時26分、パヴィアに停車。
 パヴィアを出ると、すぐに左右に大きく分岐。右に進むとピアチェンツァに行ってしまうから、もちろんこの列車は左に進む。名高いパヴィアの修道院を左手に見ながら、列車はまっすぐな線路を快走する。ミラノ・ロゴレードを通過すると、いよいよミラノの「鉄道環状線」(線路がおおよそ環状につながっているだけで、山手線のような路線があるわけではないようだ)に入り、線路の立体交差も現れる。辺りの景色もすっかり市街地になる。「環状線」の東側・ランブラーテを通過すると列車は徐行を始める。広い構内線には、その当時(2015年5月)開催中のミラノ万博を記念して「EXPO」のロゴをあしらった特急車両が停車している。ミラノ行き列車はその脇を通過して、ゆっくりと巨大なミラノ中央駅へと吸い込まれてゆく。18時55分、到着

 2年ぶりのミラノ中央駅であったが、変わっていたのはホームの入口で切符をチェックするようになっていたことだ。改札ができたとも言えるだろう。もちろん、神殿とも教会とも言える巨大な駅舎が変わることはない。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(14)

赤の宮殿・白の宮殿
6日目

紅白

 朝、ホテルをチェックアウトするとプリンチペ駅に向かい、荷物を預けて地下鉄に乗り、サン・ジョルジョで下車。
 さあ、ここからが大変だ。ガリバルディ通りを目指すものの、古い港町であるジェノヴァの路地は、狭く入り組んでいる。タブレット端末で時々位置を確認しているにもかかわらず、油断するとすぐに道を迷ってしまう・・・

 ようやくガリバルディ通りへ。現在の市庁舎であるトゥルシ宮の宮殿が並んでいる壮観な眺めだ。
 これらの建物への入場券は、近くの本屋で売られている。まずは赤の宮殿へ。いきなり巨大絵画が待ち構えていて驚く。豪勢な部屋の数々もすごいが、やはりテラスからの眺めも良い。、そして山側の景色を堪能できる。
 次いで白の宮殿へ。トスカーナやジェノヴァの絵画を中心に展示されている。本来トゥルシ宮に通じる通路があるそうなのだが、この時工事中で、中庭を通ってトゥルシ宮に向かう。
 トゥルシ宮は市庁舎でもあるので展示スペースは少なく、かつコレクションもそれほどでもない。しかし、由緒ありげな会議室やロッジアの眺めは素晴らしい。

 次の目的地、スピノーラ宮殿へは直線距離では大したことないはずなのだが、途中昼食のために寄り道したせいなのか、私が方向オンチなのか、これが意外にたどり着けない。さらには真っ昼間なのに夜のお姉さんに客引きされたりして、路地裏の怖さも思い知らされる。
 それでも、やっとの思いでたどり着いた(私だけ?)スピノーラ宮殿は、それだけの価値がある所だった。壁一面の絵画に囲まれて、しばし時を忘れる。ここにもテラスはあるが、相対的に低い位置にあるせいか、眺めはそれほどでもない。

 港から山側に行くのは上述したようになかなか大変だったのだが、その逆は意外に簡単である。海という大きな目印があるからかもしれない。のデパートで、買い残したジェノヴァのおみやげを買う。
 いよいよジェノヴァを去る時が近づく。後ろ髪を引かれる思いで地下鉄に乗る。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(13)

ポルトフィーノ湾
5日目

隠棲

 朝、ジェノヴァ・プリンチペ駅に行く。前日に到着した地上ホームではなく、この日は地下ホームに下りる。「地下」と言っても実際は地上である。地上ホームや駅舎が高台にあるので、海側のこのホームは「地下」に見えるだけだ。とはいえ、このホームのブリニョーレ側の半分は実際にトンネルの中なのだ。山が海に迫るリグーリア地方の複雑な地形を象徴するかのようだ。

 そうこうしているうちに、セストリ・レヴァンテ行きの列車が入線する。8時14分に発車。そのままトンネルに入り、抜けるとジェノヴァ・ブリニョーレに停車。R(Region)列車だから各駅に停車すると思っていたが、意外にもここからは快速運転となり、町はずれのジェノヴァ・ネルヴィまで停まらない。
 その後も快速運転は続き、ボリアスコレッコカモーリの順に停車する。カモーリからは内陸に入り、ポルトフィーノ半島を横断して反対側のサンタ・マルゲリータ・リグレに停車。8時50分過ぎだ。

 は高台にあるので、少し歩いて街に下り、港へ向かう。ポルトフィーノ行きのフェリーまで少し時間が余ってしまったので、しばらくブラブラ。街はを中心にカラフルな建物が建ち並び、ちょっと風格というアクセントを添えるかのように小さなお城まである。ここもリヴィエラのリゾート地の一つなのだ。

 のんびり街を歩いていたら、いつの間にか港に大行列ができている・・・危ない。チンクエテッレ同様、ここにも観光客が押し寄せ、フェリーはあっという間に超満員となる。10時15分に出航。次第に遠ざかるサンタ・マルゲリータ・リグレの街を眺める。やはり港町の美しさは、海上からでないとわからない。
 フェリーは半島に沿って南に向かう。山のあちこちに瀟洒な邸宅庭園が見える。住宅というよりも、別荘なのであろう。
 やがてフェリーは半島の南端近くで向きを変え、入江に入ってゆく。その入江もまた、カラフルな建物に覆われている。ここがポルトフィーノである。

 フェリーを降り、少しを巡る。見るからに豪華なクルーザーがそこかしこに停泊している。ポルトフィーノは、実は世界中の富裕層の隠れ家として現在人気の地であるらしい。

 港から小高い丘に登ってみよう。現れたのは、別荘?いやだ。いや、実はどちらも正しい。元はジェノヴァが建てた城だったが、ブラウンというイギリス人が買い取り、一時期別荘にしていたのである。
 ここから見たポルトフィーノの入江の景色は・・・素晴らしい。これで天気さえよければ、何も言うことがないのだが。
 今度は、城の搦手?から出て丘を下りてみよう。その麓には珍しい黄色の教会(サン・ジョルジョ教会)が建っている。

 昼食。と思ったが、やはり金持ちが集まるところだけあって、レストランは軒並み高い・・・。多くの人々と同様、私もこんな所に別荘を構えて優雅な隠遁生活をすることに憧れるが、どうやら現実には別荘どころか半日も過ごせないようだ(笑)。結局ピザとビールだけ口にして、早々に退散することに。

 サンタ・マルゲリータに戻ると、また少し歩いてみる。大きな教会を発見。その名もサンタ・マルゲリータ教会。町名の由来なのであろう。よく見ると、辺りも門前町のようになっている。が、シエスタにはまだ早い時間帯なのに、多くの店が閉まっている。この街にとって、まだシーズンオフなのだろうか?

 駅に戻る。14時1分、サヴォナ行きの列車に乗る。これは各駅停車だった。ふと気がつくと太陽がまぶしい。朝からずっと曇っていたのに、どうして今頃になって晴れるんだ!!!と呟いたところで、今更ポルトフィーノに戻る気力・体力はもはやない・・・私の気分は晴れないまま、列車は14時51分、ジェノヴァ・プリンチペに到着。今度は地上ホームである。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(12)

ジェノヴァ港
熱那

 プリンチペ駅前の広場にはコロンブス像が立っている。彼はスペインの後援であの大航海に出たのだが、出身はここジェノヴァだと言われている。

 駅前からバルビ通りをまっすぐ歩く。すると、右側に「王宮博物館」の旗が立った建物が現れる。通りの真ん中に「王宮」とは違和感があるが、ここは確かに「王宮」なのだ。
 元々はジェノヴァの有力貴族・バルビ家の屋敷であったものを、ジェノヴァがイタリア王国に吸収された後、王宮の一つとして使用されたそうだ。現在見学できるのは2階部分だけであるが、外観からは想像できないくらい内部は豪勢で、ダメ押しのように玉座もある。
 次いでテラスに出る。ここからはもちろん、を眺めることができる。だが、このテラスの真骨頂は、振り返った時にある。その時初めて、この建物の真の姿がわかるのだ。ふと日本の町家のことが頭に浮かぶ。あれも通りに面した玄関の狭さや地味さとはうらはらに、奥には大きく美しい庭や土蔵があったりする。

 王宮を出て、さらに通りを進むと、今度は神殿のような建物が現れる。しかしながら、これはれっきとしたキリスト教の教会である。

 教会を出て、さらに通りを進もうとしたその時、通りに異変があることに気づいた。デモである。デモ隊が向かう方角は、まさに私の向かおうとするそれであった。

 作戦変更。いったんプリンチペ駅に戻り、今度は地下鉄に乗ろうとするのだが、これが見つからない・・・。地下鉄駅は鉄道駅に直結しておらず、少し離れた場所にあるのだ。ようやく入口を見つけ出して地下鉄に乗る。

 フェッラーリ広場駅で下車。地上に出ると、駅名の通りフェッラーリ広場である。ここはジェノヴァの中心部であり、地域政庁をはじめボルサ宮ドゥカーレ宮など由緒ある豪奢な建物がずらりと周りを取り囲んでいて、さながら建物の博物館といった感じである。しかし、多くの建物が「現役」であり、美術館のあるドゥカーレ宮などを除いてはほとんど見学できない。これもジェノヴァの特徴と言えるだろう。

 フェッラーリ広場から港に向かって歩くと、すぐにサン・ロレンツォ教会が現れる。フィレンツェの教会を思わせる美しい外観の教会だが、ここも内部の見学はできない。
 しばらく歩いてに至る。港にはサン・ジョルジョという地下鉄駅があるのだが、もうしばらく散策を楽しみたいのでフェッラーリ広場へ戻る。今度はソプラーナ門を通る。旧市街の城壁門の一つだ。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(11)

ジェノヴァ行きFB(ラ・スペツィア駅)
4日目

ラ・スペツィア→ジェノヴァ

 長いようであっという間だったラ・スペツィア~チンクエテッレの旅を終え、さらに鉄路で北上を続ける。
 9時16分、ラ・スペツィア駅ジェノヴァ行きのFBが6分遅れで入線する。車内は、1列・2列のシートが並ぶ、一人旅には理想的な環境である。

 列車はラ・スペツィアの市街地をすぐに抜けて山にぶつかると、長いトンネルに入り、半島を横断する。トンネルを抜けるとチンクエテッレに入り、リオマッジョーレ、マナローラ、コルニ―リア、ヴェルナッツァを次々に通過する。その間、長いトンネルが続き、海の景色が見られるのはごくわずかである。そしてモンテロッソも通過。いよいよ未踏の地へ。

 この後もレヴァント、ボナッソーラと山に囲まれた、すなわちトンネルの間の狭い谷間に存在する駅が続く。
 リヴァ・トリゴソからようやく少し土地が開けてきて、やや大きな町セストリ・レヴァンテを通過。ここからは開けた海岸線が続く。

 だが、それもキャヴァリまでで終わり、再び山に囲まれた風光明媚な町が次々と現れる。海辺に建つお城が見えるゾアーリ、そしてやや大きな町ラパッロを通過。

 次の駅サンタ・マルゲリータ・リグレを通過すると半島を横断するためにいったん山道に入るが、カモーリから海岸に復帰する。一つ一つのトンネルは短くなっているもののなお続く。線路の上も断崖、下も断崖。

 ジェノヴァ・ネルヴィを通過。海辺の小さな駅だが、いよいよジェノヴァ市街に入ったと思われる。しばらく開けた海岸が続くが、ついに海を離れるとやや長いトンネルに入り、列車は徐行する。トンネルを抜けると、そこには都会の景色が広がる。そして10時4分、ジェノヴァ・ブリニョーレに停車。
 ブリニョーレを出るとすぐにまたトンネルに入るが、列車は徐行したままである。そしてトンネルを抜けると、ついに終点のジェノヴァ・プリンチペに到着する。10時12分。

 この「王子」を意味するプリンチペ駅は、駅舎の内装もさることながら、外観からも王子の住んでいそうな宮殿を想起させるのである。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(10)

マナローラ(2)
五村(その4)

 ヴェルナッツァ駅に向かう。ここも案の定大変な混雑である。だが、以前に書いた通りヴェルナッツァ駅はホームの地上部分はわずかで、その多くがトンネル内にある。モンテロッソ駅と同様、ここでも「トンネルの法則」は有効だった。やはりトンネル内の人は少ない。

 16時45分、ラ・スペツィア行きの列車は約15分遅れで到着。おそらく混雑のせいだろう。もちろん、すぐに反対側の長いトンネルに入る。トンネルを抜けるとコルニ―リアに停車。ここもチンクエテッレの一つだが、村が駅から遠いので訪問は諦める。再びトンネルに入り、そこを抜けると、マナローラに停車。17時ちょうど。ここで下車する。
 マナローラ駅もまた前後をトンネルに挟まれている。ジェノヴァ寄りにある山が駅と村とを隔てており、ホームから村側の出口に向かうにはトンネルを通らねばならない。

 マナローラもまた、断崖に囲まれた小さな漁村である。山から続く小さな通りが、断崖にわずかに穿たれた入江に続いている。とりわけ入江の海に向かって左側(南側)の崖の上に人家が密集しており、これが独特の素晴らしい景観を作っている。
 この入江を眺めながらの夕食は格別だ。ルッコラ・チーズ・トマトのパスタ、シーバスのグリル、ワインはその名も5 Terre(チンクエテッレ)というDOCの白ワイン。

 夕闇が迫った海岸のホームから、ジェノヴァ方面行きの列車が発車する。絵になる景色だ。しばらくして、反対側のホームにラ・スペツィア行きの列車が到着する。18時48分。10分遅れである。夜になってもまだ列車の遅れは解消していないようだ。
 列車はすぐにトンネルに入る。短いのですぐに抜けるとリオマッジョーレに停車。ここでも大勢の観光客が乗り込む。そして今度はひときわ長いトンネルに入り、ポルト・ヴェネーレのある半島の根元を貫く。私のような観光客にとって、これは日常と非日常の境であるように思える。トンネルを抜けると、日常の世界、大きな町が見えてきた。19時ちょうど、ラ・スペツィアに到着する。長く、そして楽しい一日が終わった。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(9)

ドーリア城から(2)
五村(その2 もう一度)

 リオマッジョーレで再度モンテロッソ行きのフェリーに乗る。ここが始発だからけっこう空いていて、先ほどはあまり見られなかった海岸側の景色もよく見える。フェリーはリオマッジョーレを後にすると、北上してマナローラに向かう。マナローラの手前で、トンネルが少し途切れる区間があり、マナローラの駅はここにある。列車がちょっと息継ぎするかのように姿を現す。

 フェリーはマナローラを出るとさらに北上する。コルニ―リアの丘を過ぎ、やがて塔の建つ岬を通過すると、ヴェルナッツァだ。ヴェルナッツァに再び上陸する。
 先ほどは山の方に向かったが、今度はあの岬に行く。建っている塔は、ドーリア城という城の塔であった。塔の上から眺めると、真っ青な海と断崖が織りなす景色、そしてヴェルナッツァの港を間近に見下ろすことができる。高所恐怖症ではなく、その美しさに思わず足がすくむ。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(8)

ラ・スペツィア行き普通列車(リオマッジョーレ駅)
折返

 モンテロッソ駅に行く。ホームには既に多くの人々が列車を待っているのだが、よく見るとホームのジェノヴァ寄りはトンネルに入っていて、この辺りには人がほとんどいない。車両編成の長短もあり、この辺りに停車するかどうかはわからないが、賭けのつもりで待ってみる。
 前後の状況から考えておそらく混雑のせいなのであろう、ラ・スペツィア行きの列車は予定より10分以上遅れて14時12分に到着。車両の最後尾はトンネルの中だ。車内もガラガラ。どうやら賭けには勝ったようだ。

 列車は発車後すぐにまたトンネルに入る。抜けたところは、前回見たモンテロッソ旧町内の浜辺だ。そしてまた、トンネルに入る。今度は長い。と思っていると、列車は徐行になり、そして停車してしまう。ここはヴェルナッツァの駅だったのだ。ヴェルナッツァ駅は狭い谷間にあり、ホームの大部分がトンネル内に入っているためである(写真参照)。
 列車は一瞬地上に出たかと思うと、また長いトンネルに入る。しばらくして、ようやく抜けたかと思うと、列車はスピードを落とすことなく駅を通過。ここは?コルニ―リアだ。そしてまたトンネル。抜けると駅だ。しかし通過。マナローラである。今度もトンネル。だが、すぐに列車は徐行となり、やがて停車。リオマッジョーレだ。14時30分。チンクエテッレの景色を楽しむには、残念ながら鉄道は不向きだと認めざるを得ない。

 列車を降りると、そこはトンネルの中だった。前方に向かって歩き、駅舎の方に行くと、大勢の乗客でごった返している・・・人出の中をかいくぐるようにして、港へ向かう。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第12弾(ピサ→ミラノ)(7)

モンテロッソ(5)
五村(その3)

 急いで港に戻ったものの、モンテロッソ行きの船は結局5分遅れで13時ちょうどに出発。次の港であり、終点のモンテロッソにはすぐに到着。
 港の目の前には小さな岩山が聳えているが、今までの村に比べると、ここははるかに開けている。ビーチを横切る高架の線路を、ちょうど今列車が通過する。高架のすぐ脇には広場があり、ここから山の方に向かってモンテロッソの集落が続いている。しかし、駅はここにはない。

 駅に行くには、集落の西側を画す山を越えねばならない。車も通る狭いトンネルを抜けると、そこには新たな景色が広がる。海の中に直角三角形の岩が居座り、あたかもその先端から砂が湧き上がって両側に広がっているようだ。
 ビーチのすぐ脇の通りにはホテルや飲食店が立ち並び、リゾート地の雰囲気に満ちている。モンテロッソ駅も、この並びにある。とりあえず軽く昼食をとる。

続く
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