ヨーロッパ横断鉄道旅行-第10弾(フィレンツェ→ローマ)(3)

サン・ジミニャーノ(4)
4日目

Top of the World?

 よく晴れた朝だった。SMN駅の左隅にある4番線に、既にシエナ行きの列車が入線していた。
 9時11分に発車。まずはまっすぐ北上してフィレンツェ・リフレディに停車すると、フィレンツェ空港の手前で左に分岐して、ボローニャ方面に向かう線路と分かれる。ここからは進路を西に変え、アルノ川に沿って進む。
 早くも郊外に出てサン・ドンニーノ・バディアを通過すると、またも分岐点。いったん右に分岐すると、坂を上り、左の線路とアルノ川を一気にをまたいで南に向かう。ラストラ・ア・シーニャを通過すると、丘陵地帯を貫くまっすぐで長いトンネルに入る。
 トンネルを抜けたところで、先ほど分岐したはずの線路と合流し、再びアルノ川に沿って西に進む。おそらく、今合流したのがアルノ川に沿ってクネクネと進む旧線であり、私の乗る列車がまっすぐでスピードの出る新線なのであろう。列車は久々に駅に停車。9時32分、モンテルーポ・カプラーイアだ。
 次いで、9時41分にエンポリに停車。エンポリを出ると、またも線路は分岐する。列車は左に進んで南に進路を変える。ここを右に進めば、このままアルノ川に沿ってピサへと向かうことになる。
 列車は、アルノ川の支流・エルサ川に沿って進む。ひまわり畑や丘の上の街が車窓に現われては消える。この間、私はどこで下車すべきか思案していた。列車に乗った時、終点のシエナまで乗るつもりで切符も買っていた。ところが、シエナの大きな見どころの一つがこの日休みだということが判明したのだ。列車はカステルフィオレンティーノ、チェルタルドなどに停車して、10時16分、ポッジボンジに停車。
 私は決めた。そしてホームに降り立つ。

 駅前には予想通りバス停があった。だが、チケット売り場はない・・・。こういう時は経験に尋ねるのがいいようだ。駅舎内のカフェに行くと、案の定バスチケットを売っていた。
 10時20分、早くもバスが到着。バスはポッジボンジの街を抜けると、急勾配の坂道をぐんぐん登る。「どこに連れて行かれるのだろう?」バスの行先はわかっているはずなのに、そう不安になる。20分ほど経った時、丘の上に突如街が現れる。そして、バスは街を囲む城壁前のターミナルに停車。この街の名は、サン・ジミニャーノ。

 近づく者を拒絶するような城壁の端にあるサン・ジョヴァンニ門をくぐって中に入る。石畳の通りを挟んで整然と建物が建ち並ぶ。まるで城壁が時代の流れを堰き止めたかのようだ。最初はなだらかだった通りは、街の中心部に近づくにつれ、次第にきつい坂に変わる。そして、街の中心部・ドゥオーモ広場に到着。広場には多くの露店が出ていて、観光客がひしめき合う。

 ここから先は、下り坂になる。つまり、この街は丘の頂上にあるドゥオーモ広場を中心に成り立っているのだ。
 まずは、坂を下りて右手に進んだところにある考古学博物館に入ってみよう。この街ではかつて製薬業が盛んだったのだが、その薬を入れた壺(彩色された陶器)が多数展示してある。
 再び坂を上り、ドゥオーモ広場へ。ここにあるポポロ宮は美術館になっており、壁を覆う巨大なフレスコ画が素晴らしい。隣接する参事会教会(すなわちドゥオーモ)にも連作のフレスコ画がある。

 サン・ジミニャーノを特徴づけるのは、古い町並みだけではない。何と言っても、街の大きさに比べて塔が多いのだ。だから、どこで写真を撮っても塔が写る。現在は14あるということだが、かつては70以上もあったらしい。その中でもポポロ宮に隣接した大きな塔・Torre Grossaに登る。よくある螺旋階段ではなく、ちゃんと踊り場のある階段なので、フィレンツェでへたった私でも大丈夫だ。ただし、最後は梯子段となるため、下りてくる人を長い間待たねばならない。ようやく頂上に出ると、広がる景色に思わず息を呑む。建物が密集して島のように見えるサン・ジミニャーノの街、そしてその外に広がる大海原のようなトスカーナの緑の丘陵地帯。この街自体が高い丘の上にあるので、まるで人間世界と自然界(もちろん、かなり人の手が入ったものだが)を足下に一望しているかのような錯覚に陥る。

 すっかりお腹が空いて昼食へ。リーズナブルなレストランは観光客でごった返しているので、落ち着いた場所が好きな私は、少々高いが、人の少ないレストランに入る。ランチセットのラザニアとトスカーナ産のスパークリングワイン。

 それでもワインが飲み足りない気がして、この街にあるというワイン博物館を探す。だが、案内板がわかりづらく、いろいろ迷った末、町はずれにようやく発見。サン・ジミニャーノ特産のヴェルナッチャ(白)とトスカーナ産のキャンティ(赤)の飲み比べ。ヴェルナッチャは香りが甘く、キャンティは味わいが良い。
 すると、今度は何か食べたくなった。町中に戻って、トスカーナ名物のサラミが入ったサラミサンドを買って食べる。

 すっかり満足して門を出る。14時40分、バスで出発し、15時前にポッジボンジに到着。
 15時16分、エンポリ行きの普通列車に乗る。バルベリーノ・ヴァル・デルサチェルタルドカステルフィオレンティーノなどを通って、ピサからの線路と合流。15時54分、エンポリに到着
 エンポリでしばらく待つ。16時6分、ピサの南にあるリボルノ始発でSMN行きの列車に乗る。モンテルーポ・カプラーイアを出て旧線と分岐し、あの長いトンネルを出るとラストラ・ア・シーニャに停車。アルノ川を渡って再び旧線と合流。そしてフィレンツェ・リフレディの手前でボローニャからの線路と合流すると、16時34分にSMN駅に到着する。

続く
目次へ


"ヨーロッパ横断鉄道旅行-第10弾(フィレンツェ→ローマ)(3)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント