ヨーロッパ横断鉄道旅行-第8弾(ミラノ→ヴェネツィア)(3)

ストレーザ(4)
3日目

南国?

 朝、ミラノ中央駅に向かう。既に人混みでごった返す中、スイス・ジュネーブ行きのEC32は既に入線していた。車内には左右2列ずつのシートが並んでいる。
 8時25分、列車が出発する。マルペンサ・エクスプレスとしばらく並走するも、マルペンサ・エクスプレスは左に折れて、ポルタ・ガリバルディへと向かう例のヘアピンカーブに入る。この列車も、幾重にも線路が交錯するポイントで、やや緩やかな左カーブに入る。そのままミラノ市街を西に進み、大規模な見本市がしばしば開催されるロー・フィエラ(ちなみに、2015年のミラノ万博は、この地で開催されている)を通過すると徐行し、8時42分、ローに運転停車。
 列車は、8時45分に発車すると北西に向きを変える。8時57分、ガララテを通過。ここからは線路が三手に分かれているが、列車は一番左の線路を進む。この辺りから、ようやく森や牧場が現れて田園風景となる。トンネルも通過する。
 やがて、線路が二手に分かれ、左に進むと大きく南にカーブする。その直後にセスト・カレンデを通過すると、今度は右から来た線路と合流し、大きく美しい川を渡る。ティチーノ川だ。川を渡ったところで、線路はまた二手に分かれ、今度は右に進む。どうやら、ティチーノ川の右岸と左岸に沿った線路が、ここで交差しているようだ。
 右に進んだ列車がティチーノ川に沿って走り出すや否や、川は湖へと姿を変える。マッジョーレ湖である。9時14分、湖岸の町・アローナを通過する。湖岸は山がちで、トンネルやカーブが続く。湖を見下ろす山の斜面には、建物が段状に並んでいて、素敵な景観を作り上げている。9時25分、予定より5分遅れてストレーザに停車。私はここで下車する。

 駅から坂を下ると、すぐに湖岸に到達する。湖岸には豪華なホテルが立ち並び、リゾートの雰囲気満点だ。湖岸の散策も素晴らしいのだが、この湖にはいくつか島が浮かんでいるので、さっそく島巡りをしよう。

 案内板が出ていないので少し迷ったが、ようやくフェリー乗り場を見つける。10時ちょうどのフェリーに乗る。フェリーがストレーザの岸を離れるや否や、水面に緑の軍艦のような建造物が姿を現したので大いに驚く。次第にその建造物に近づくと、それが庭園であることがわかる。感嘆する間もなく、フェリーはベッラ島に到着する。
 ベッラ島には、領主であったボッロメオ家の宮殿がある。美しく飾られた広間や、壁に散りばめられた絵画を楽しむ。私の印象では、イタリア貴族の館は、ドイツの王家などのようなゴージャスさはないものの、小さくても素晴らしい芸術品を揃えており、その配置などのセンスの良さは抜群である。それに加えて、この宮殿には色とりどりの小石で飾られた部屋があり、その細工の妙には唸るばかりだ。もちろん、窓から見える湖の景色は素晴らしい。
 だが、この宮殿の見どころは、これだけにとどまらない。庭園に出ると、人工の「山」と石像の群れが私達を出迎えてくれる。「山」の裏側では、段状に草花が植えられていて、その端は、先ほどフェリーからみた、あの「緑の軍艦」になっているのだ。

 興奮冷めやらぬまま、宮殿を後にする。もう昼時だが、島には続々と観光客が押し寄せていて、レストランには空きがない。そこでいったんストレーザに戻って昼食にする。軽くラビオリを食べる。

 13時ちょうど、再びフェリーに乗る。今度はベッラ島では降りない。フェリーはペスカトーリ島(漁師町の風情がたまらない)、湖岸の町・バヴェーノを経由してマードレ島に到着する。
 到着するや否や、急な階段を上る。その理由は、この写真からも明らかなように、この島の海岸には平たい土地がなく、「岸壁」と呼ぶにふさわしい高い壁の脇に船を寄せざるを得ないからだ。この島にもボッロメオ家の宮殿がある。ベッラ島の宮殿ほどではないが、たくさんの絵画が飾られていて、なかなかのものだ。宮殿から隣接する礼拝堂を見下ろすと、遠くの湖の景色とあいまって、とても絵になる情景となる。庭園も、ベッラ島と同じく段状になっている。庭園のソテツに日光が燦々と降り注ぐのを見ると、ここがイタリアの最北部であることを忘れて、南国に来たような気分になる。もちろん、ヨーロッパ北部の人々にとっては、南国であったに違いないが。

 気持ちの良い天気だったから、観光客もたくさん押し寄せたのだろう。帰りのフェリーは、10分遅れて15時10分にマードレ島を出発。往きと同じく、バヴェーノ、ペスカトーリ、ベッラを経由してストレーザに向かう。島の船着場にはフェリーが1隻しか停泊できないので、他のフェリーの出発を待つなどしているうちにさらに遅れ、ストレーザには予定より30分遅れて16時に到着

 せっかくなので、湖岸を散歩してみよう。朝は曇って視界が悪かったが、今はをよく見渡せる。湖岸には海水浴ならぬ湖水浴客が大勢いる。ベッラ島の方に目を移すと、やはり島自体が大きな軍艦のように見えるのが面白い。

 すっかり満足してストレーザ駅に向かう。ここで初めてイタリア鉄道の券売機で切符を買う。英語対応しているので、外国人でも容易に買うことができるだろう。
 17時ちょうど、ミラノ行きのEC39に乗る。マッジョーレ湖の眺めを見ながら南下する。湖岸の町の朱色の屋根は、「南国」の陽光によくマッチしている。
 往きとは異なり、列車は途中停車することもなく快調に飛ばす。そして、17時50分にミラノ中央に到着。予定より6分も早い!

 もはや芸術的と言えるミラノ中央駅のホールを見下ろすレストランで夕食。チーズのたっぷりのったペンネを食べる。

続く
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