ヨーロッパ横断鉄道旅行-第8弾(ミラノ→ヴェネツィア)(2)

ポルディ・ペッツォーリ美術館
2日目

やっぱり街は芸術

 朝、ホテルを出ると、ランブラーテ駅から地下鉄M2に乗り、西へ。サンタンブロージョで下車。
 地上に出てしばらく歩くと、大きな教会が現れる。駅名の由来となったサンタンブロージョ聖堂である。ドゥオーモなどに比べると、外見は地味だが、内装は非常に立派で、黄金の祭壇まである。オルガンの演奏が流れ、日曜朝のミサが始まる。

 M2に乗り、いったんミラノ中央駅まで戻ってM3に乗り換え、南へ。モンテナポレオーネで下車。ここは例によって地上に出ても目立った目印がなく、道に迷ってしまう・・・。何とかマンゾーニ通りに入って、ポルディ・ペッツォーリ美術館へ。
 ここはミラノの貴族であったポルディ・ペッツォーリの屋敷だったところで、彼のコレクションが公開されている。まずは入口の階段を上って2階へ。大量のコレクションを所蔵する美術館のように年代別、作家別などの分類はなく、異なる年代やジャンルの作品を自由に並べているのだが、この配置の仕方自体にセンスの良さを感じる。絵画だけでなく、ヴェネツィアグラスや陶器のコレクションも素晴らしい。室内の調度品ともよくマッチしていて、とても居心地の良い空間になっている。展示の最後が武具というのも面白い。

 ちょうど昼前なので昼食、と思ったものの、ここで思わぬ苦戦を強いられる。なぜなら、空いているレストランが少ないからだ。昼時なのに、これはどういうことか?答えは、ガイドブックにも載っている。レストランの一覧表にある「定休日」を見てみよう。「8月」とか「8月の2週間」などの記載が多いことに気付くだろう。イタリアでは8月にバカンスを取るレストランが実に多い。大都市ミラノの中心部といえども、例外ではない。
 結局、ファーストフード店のようなところでのびのびのスパゲティを食べて昼食はおしまい・・・。

 そのまま南に歩き、ガッレリアを通ってドゥオーモの前へ。近くの王宮を通って、アンブロジアーナ絵画館へ。ここはもともとミラノの司教館だったところで、後に図書館と美術アカデミーになった。
 展示されている絵画は、よく修復されているためか、いずれもピカピカだ。とりわけカラヴァッジョの「果物篭」のリアリティにはため息が出る。建物の由来のせいか、全体としては宗教画が多いが、中には官能的な作品も・・・。
 建物としても素晴らしく、中庭や吹き抜けがあり、天井や階段が絵画や彫刻で彩られている。展示の最後にはかつての図書館ホールを通るのだが、ホールをぐるりと囲む書棚の迫力には圧倒される。

 ちなみに、聖堂といい、司教館といい、「アンブロXXXX」の名前がついているのは偶然ではない。これらは4世紀のミラノ司教にして、ミラノの守護聖人になった聖アンブロージョにちなんだものである。

 すっかりイタリアの美の力に魅せられてしまった私だが、その直後、厳しい現実に引き戻される。いったんホテルに戻るため、地下鉄M1のドゥオーモ駅から列車に乗った直後のことだった。私の目の前にいた若い男がメガネを落とした。ふと下を向くと、かがんだ男はメガネの方は見ず、なぜか私の足を押さえている。「おかしい」そう思った瞬間、後方から手が伸びてきて私のズボンのポケットに入ってゆく。何が起きているのかようやく理解した私は、ポケットをぎゅっと押さえた。
 次の瞬間、かがんでいた男と、私の後ろにいた人影が走り去り、列車の扉が閉まる。話には何度も聞いていたイタリアのスリを体験したのである。幸い、ポケットの中身は無事であった。冬であればポケットの存在や位置を上着で隠すことができるのだが、夏の薄着ではそうはいかない。私の場合、列車に乗る前に自販機で飲み物を買っていたために、財布の位置を確認されてしまったのだろう。

 夜、夕食に出かける。上記のような事情でホテル周辺のレストランも閉まっているため、地下鉄に乗ってミラノ中心部に向かう。さすがにドゥオーモ駅は危険だと思ったので、1つ隣のサン・バビラで下車。地上に出てヴィットーレ・エマヌエーレ2世大通りを歩く。ドゥオーモに続く歩行者天国である。
 ここまで来れば開いているレストランもある。1軒のワインレストランを見つけたので入る。シャルドネと、少々高めで濃厚な赤ワイン(名前は忘れた・・・)を飲む。メインは、ミラノ名物、カツレツだ。

続く
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