ヨーロッパ横断鉄道旅行-第7弾(ミュンヘン→ミラノ)(8)

メンヒスベルクから
4日目

音楽の都

 朝、ザルツブルクの駅前からバスに乗る。旧市街までは行かずに、ミラベル宮殿で下車する。この宮殿はもともとザルツブルクの大司教が愛人のために建てたものだそうだ。(ちなみに、カトリックの聖職者は妻帯しない建前なので、事実上の「妻」であっても皆「愛人」と呼ばれる。)オリジナルは17世紀のものだが、19世紀に再建されている。
 ここの庭園は無料で入れるのだが、「ミラベル」(美しい眺め)という名の通り、よく手入れされていて、とても良い眺めである。特に、向こうに見える要塞を借景にしているのはさずがである。

 ミラベル宮殿からは歩いてザルツァハ川を渡り、旧市街に入る。まずは大聖堂へ。8世紀に創建されたというこの教会の現存する建物は17世紀のものである。内部は、半筒形の天井が輪切りされたように区切られていて、交互に装飾されているのが面白い。ザルツブルクは長らく世俗領主ではなく、大司教が支配していた町なので、この大聖堂は町の中心的存在だったと言える。付属の宝物館もあるのだが、5月まで休館とのこと・・・。

 大聖堂に隣接するレジデンツへ。ここは誰の居館かというと、もちろんザルツブルク大司教の居館であった。大聖堂とは渡り廊下でつながっている。(一般公開はされていない。)巨大な天井画が描かれたホールや、壁一面が織物に覆われた部屋など、大司教の豪勢な暮らしぶりが伝わると同時に、ここがザルツブルクの政庁として機能していたことがうかがわれる。ここには大司教のコレクションを展示したギャラリーもあるのだが、この日は「魔の月曜日」(日本でもそうだが、ヨーロッパの博物館などの見どころはたいてい月曜日が休館なので、勝手にそう名付けている)で休館である。

 次は、前日も訪れたザルツブルク要塞に行ってみる。大聖堂から南に進んでケーブルカー乗り場に行く。ケーブルカーがゆっくりと動き出す。大聖堂をはじめ、旧市街の建物群が次第に遠ざかる。わずか数分で山上に到着する。堅固な城壁の中は、小さな町のようになっている。各所に聖人の像や小さな祠があるのは、大司教をトップに据えているゆえであろう。建物の最上階に上ると大司教の居室があり、ここが前日のコンサート会場であった。ここはあくまで非常時の「詰めの城」であるので、他の城と比べると、戦うための設備しかなく、装飾は簡素である。
 その代わり、眺めは素晴らしい。山の麓からザルツァハ川に至るまでのザルツブルク旧市街の様子が一望できる。

 15時、レジデンツの一角にある小部屋に行く。ここでハープシコードとソプラノのコンサートを聴く。ハープシコードは現在のピアノよりも音が長続きしないため、短い音をつなぎ合わせる必要があるのだが、このテクニックが素晴らしい。もちろんマイクなどないのだが、ソプラノ歌手の声は部屋中に響き渡り、手にしていたプログラムも共振してしまうほどだ。

 レジデンツを出ると、旧市街で最も賑わう通り・ゲトライデカッセを歩く。ここにモーツァルトの生家もある。その近くの喫茶店に入り、かねて気になっていたザルツブルガーノッケールを注文。「二人前からなんですけど・・・」と言われて一瞬怯んだが、ここで諦めると一生食べられない。思い切って注文する。20分後、焼き立てのスフレが登場。中身は卵で、空気で膨らんでいるだけだから見た目ほどのボリュームはないのだが、それでもこの量はさすがにきつい・・・。ふぅ、何とか完食。

 またゲトライデカッセを歩き、西はずれのブラジウス教会まで行くと、要塞から連なる高い丘(メンヒスベルク)にぶつかる。そこから北に歩く。ちょっとわかりにくいのだが、エレベーター(有料)乗り場がある。これに乗ると丘の上まで連れて行ってくれる。ここは断崖絶壁になっているから、麓から上る道はないし、あっても歩いて上る気がしない。エレベーターを降りたところは近代美術館になっているのだが、これも「魔の月曜日」ゆえ休館である。外に出ると、素晴らしい眺望が広がる。今度は旧市街だけでなく、その背後に要塞が広がっているからだ。

 短いザルツブルクの旅は、こうして幕を閉じる。

続く
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