ヨーロッパ横断鉄道旅行-第6弾(ベルリン→ミュンヘン)(18)

ボーデン湖畔(1)
南の海

 まずはコンスタンツの中心・広場に出てみる。色とりどりの建物の壁が並ぶ中、宗教画を壁に描いたものもある。さすがは宗教都市だ。
 広場から北に歩くと、川岸にとんがり屋根の塔が建っている。これはラインの塔と呼ばれており、目の前の川はライン川だ。
 ここで簡単に地形の説明をしよう(下の地図も参照)。ボーデン湖は陸地で東西に分断されており、水路のような川が両者を結んでいる。東側の湖の方がずっと広い。先ほど列車から見た湖は西側の湖であり、ここコンスタンツは、東側の湖から川に水が注ぎこむ地点にある(河口には違いないが、通常とは流れが逆だ)。ところで、このボーデン湖は実はライン川の一部なのだ。湖の南東から注ぎ込んだライン川は、コンスタンツから細い水路を通り、西側の湖に出て、湖の南西から再び川となって流れて行くのである。
 前置きが非常に長くなったが、ラインの塔の目の前の川が「ライン川」と呼ばれる理由はこの通りである。
 この塔のすぐ隣にが架かっていて、ここがちょうど東側の湖と水路の「河口」にあたる地点である。ここからは、透明な水色に染まり、まるで海のように見える湖の姿を満喫できる。岸には別荘であろうか、豪華な建物が並んでいる。コンスタンツのもう一つの顔(おそらくこっちの方が大きいだろう)は、ドイツ有数のリゾート地である。ヨーロッパの人々にとって「南の海」と言えば地中海だろうが、ドイツの人々にとっては、わざわざ地中海まで行かなくてもちょっとした南国リゾート気分を味わえる場所がコンスタンツを初めとするボーデン湖畔なのだろう。

 さて、この橋にはコンスタンツ駅に向かう線路も通っている。先ほど乗った列車が通ったのはここである。幸い高い柵もないので、しばらく待って橋を渡る列車を撮ってみた。

 昔ながらの狭い街路を通って市街地に戻り、今度は大聖堂に行く。かつては灯台の役割も果たしていただけあって、高く荘重な造りだが、内部も美しい祭壇画やステンドグラスに満たされていて、宗教都市の面目躍如といったところであろう。長い階段を上りきり、塔の上に出る。コンスタンツの市街地、そしてボーデン湖を一望することができる。

 次は港に行く。途中にあるバス停が、どういうわけか中国風の屋根をしているのが面白い。は色とりどりの花で満たされ、南国気分を盛り上げる。突堤の先にはインペリア像と呼ばれる女性像が立っていている。胸をあらわにしていて宗教的には「けしからん」のだろうが、ここの南国的気分にはとてもマッチしている気がする。この像、よく見ているとゆっくり回転していて、ユーモア味もたっぷりだ。
 高速艇が出航する。インペリア像の目の前を抜けて港を出ていくのだが、ちょうどインペリアは正反対を向いていて、船には知らんぷりだ。
 すっかり南国リゾート気分で満たされる港だが、突堤の手前には幾多の宗教会議の舞台にもなった和議の館もあり、宗教色も忘れられていない。

 ここまで来たからには、ちょっとは船に乗ってみたい。そう思っていると、ちょうどボーデン湖のナイトクルーズがあることがわかり、さっそくチケットを購入する。ここでいったんホテルに向かう。

 18時過ぎ、再び港へ行く。ナイトクルーズの船には長蛇の列ができている・・・。乗りきれるのかと正直不安だったが、何とか入りきってしまった。時刻は夕方ではあるが、高緯度のドイツではまだ日が暮れそうにない。そして、ライン川のクルーズと同様、ここでも屋内の座席はなく、皆甲板に椅子を並べている。日本人の私にはこの強い日差しにとても耐えられそうもない・・・。だから、ここでもまたレストランに陣取ることにした。ところが、甲板にいる乗客達がレストランに次々とオーダーを入れるので、レストランの中の客は逆になかなかオーダーを聞いてもらえない・・・。

 その間、船はコンスタンツを出航して(今度はインペリアはこっちを向いている)、ボーデン湖に繰り出す。まずはコンスタンツの北にあるマイナウ島に着岸。バロック風の宮殿や熱帯植物園で知られる島だ。この船には周遊客だけでなく、片道利用の人もいるので、マイナウ島ではかなりの乗り降りがある。
 日はだいぶ傾いてきたとはいえ、まだ西日は相当きつい。マイナウ島からは湖を東に向かい、湖の北岸に沿って進む。次はハーグナウに着岸する。次いでインメンシュタート、そしてフリードリヒスハーフェンに到着する。船はここから折り返してコンスタンツに戻る。

 フリードリヒスハーフェンを出発したのは20時前だが、この頃になってようやく日没が近づいてくる。インメンシュタートハーグナウの順に泊まって行く。湖が黄昏色に染まる。再びマイナウ島に着岸。街灯や船の灯りがロマンティックに輝きだす。そして太陽の残照もすっかり消え、湖面が闇に紛れそうになってきた。ちょっと不気味ではあるが、美しくもある。21時過ぎ、ようやくコンスタンツに到着。空は闇に包まれ、駅の塔がその空に向かってほのかな光を放つ。

続く
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