ヨーロッパ横断鉄道旅行-第4弾(ウィーン→プラハ)(6)

スラヴォニツェ行き列車(テルチ駅)(1)
イフラヴァ→テルチ

 イフラヴァで特急を下車すると、私が乗っていた1号車の前に連結されていた機関車がすぐに切り離され、今度は最後尾に別の機関車が連結された。つまり、ここで方向を転換するということなのだ。イフラヴァ駅は、南北に伸びた線路沿いにある。南から来た線路とは、すなわちこの特急がやって来た線路なのだが、ここから北に向かうとハヴリーチクーフ・ブロトなどに行く別の路線になってしまう。ここまでボヘミアとモラヴィアにまたがる中央高地を東から西に進んできたのだが、この高地を西から東に進んできた線路は、じつは駅の手前で南から来た線路に合流していたのだ。
 このような事情が飲み込めたところで、列車は進行方向を逆にして出発する

 列車の乗り降りも絶えて人気が少なくなったホーム上で次の列車を待つ。私が待っていたのはテルチ方面行きの列車なのだが、電光掲示板を見てもどれがそれに該当するのかわからない・・・。
 貨物列車がいくつも行き交う。ここは物流の要衝でもあるのだろう。
 やがて、私のいる所からずっと奥にあるホームから列車が発車する。これはブルノ方面に向かう列車のようだ(なぜディーゼルなのか?)。13時45分、北から列車がやって来る。電気機関車に牽引された2両編成で、前が2階建てになっている。始発列車ではなく、既に乗客が乗っている(実は、ハヴリーチクーフ・ブロト始発だったのだ)。時刻表(トーマス・クック)によると、テルチ方面行きの列車は13時50分に発車予定だから、テルチに行くにはこれに乗るようだ。私は2階建て車両の1階に乗り込む。この列車にはもちろん1等車などないから、車内は全て普通のボックス席である。

 13時50分、予想通り列車が発車する。線路はすぐに二手に分岐する。左手に進めばブルノに向かうが、この列車は右手に進んで行く。列車はイフラヴァの市街地を横断してイフラヴァ川を渡り、イフラヴァ・ムニェストに停車する。こちらの方がイフラヴァの中心部に近いようで、大勢の乗客が乗り降りする。次いで、イフラヴァ・スタレー・ホリーと各駅に停車する。そしてイフラヴァの市街地を出て、イフラヴァ川沿いの平原を走る。
 私はここにきて、時刻表の表記や地図を誤解していたことにようやく気がついた。私はテルチへ向かう路線がイフラヴァから分岐していると思っていて、ブルノへ向かう路線と分岐した後でさらに分岐があったのだと思っていた。だが、時刻表を読み直してみると、テルチへ向かう路線はこの先のコステレツから分岐しているのであり、プルゼニュ行きの特急に乗り続けてコステレツで下車しても良かったのである。(ただし、コステレツよりもイフラヴァの方が駅としては面白かったので、結果的にはこれでよかったのだが、それは後でわかったことだ。)

 14時10分、コステレツ(正しくは、コステレツ・ウ・イフラヴィ)に停車する。線路を挟んで反対側のホームには、黄色い2両編成の列車が停車していた。これがテルチ方面に向かうスラヴォニツェ行きの列車であった。もちろん全て2等車だが、6人掛けの広いボックス席もあって、車内はとてもゆったりとしている。

 14時20分、スラヴォニツェ行きの列車が発車する。予想に反してイフラヴァ側に進む。すぐにイフラヴァに向かう線路と分岐して右手に進み、南に大きくカーブする。イフラヴァ川を渡るとコステレツの市街に入ってコステレツ・ウ・イフラヴィ・マスナに停車する。こちらの方が市街地の中心に近いようだ。幹線上の駅が市街地から離れていることは日本でもよくあることだが、チェコでは市街地に近い駅名を、幹線上の駅名+プラスαで表記しているようだ。
 車掌が検札のついでにどこで降りるかを乗客に聞いて回る。そしてこれ以後、降りる客がおらず、ホーム上で待っている客がいない駅は全て通過してしまうのである。かつて、京福電鉄の永平寺線に乗った際に同様のシステムを見たが(永平寺線はワンマンだったので、乗客が運転士に自ら申告していた)、特にローカル線では効率的な方法だと思う。

 コステレツの市街地を抜けるとルチュニー池の前を通る。14時30分、イェズドヴィチェに停車する。発車するとすぐにイェズドヴィツキー池が現れる。イェズドヴィツキー池の対岸には赤い屋根の町が見える。思わず途中下車をして散歩したくなる。カーブが多いため、列車はよく揺れる。
 池が見えなくなるとトジェシュチに停車する。大きな町のようだが、降りる人はまばらだ。次いでトジェシュチ・ムニェストに停車する。こちらの方が駅はみすぼらしいが、降りる人は多い。やはり市街地に近いからだろう。発車するとすぐにヴァーニョヴスキー池が現れる。これも良い眺めだ。次いでホディツェに停車する。駅の片隅に駅や線路で使うカラフルな機材が並べられているのは、駅長のコレクションなのだろうか?トヴァールニー池のほとりを過ぎると、広い丘陵を上り下りする。
 丘を下ったところで14時48分、セドレヨフに停車する。ここで初めての対向列車を待った後、さらに時間調整をして14時56分に発車する。次の駅、ミスリポリシを出ると、右手に大きな町が現れる。そして15時5分、テルチに停車する。列車はさらに南に進んでスラヴォニツェまで行くが、私はここで下車して、真新しい駅舎の前から町に向かって歩き始めた。

続く
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