ヨーロッパ横断鉄道旅行-第3弾(ブダペスト→ウィーン)(4)

ドナウ川(ヴィシェグラード)
3日目

ドナウ

 朝、再び地下鉄M1に乗ってヴルシュマルティ広場に行く。前日とはうって変わって空は厚い雲に覆われている。ドナウ河畔に建ち並ぶ高級ホテルの前から、ドナウベンドを巡る1日ツアーバスに乗る。
 バスは9時に出発すると川沿いに自由橋の東詰まで南下し、そこからペスト市街地の中心部を北上する。オーブダの古代ローマ遺跡の前を通り、かつての古代ローマの属州・パンノニアの中心であるアクインクムを通過する。
 こうしてブダペストから北に進むこと約1時間、バスが到着したところは、とある宝飾店。ツアーではお約束とも言うべき光景である。30分後、バスは出発する。ブダペストからの幹線道路からは離れて、いくつもの丘を越える一本道に入って行く。村には平屋の小さな家々が建ち並び、牧場では乗馬を楽しむ人々がいて、その周りには一面緑に覆われた丘陵がどこまでも広がっている。いつまでも見ていたい風景だ。

 やがてバスは丘を下り、大きな町に入る。そして、バスはエステルゴム大聖堂の前に停まる。時刻は11時30分だ。
 遠くからではよくわからなかったのだが、近づいてみるとその巨大さがわかる。天井ははるか上にあり、それを支える太い石柱が何本も並んでいる。中に入ると、巨大なドームと、そこから入ってくるまばゆい陽光が(これでも外は曇っているのだが・・・)見る者を圧倒する。ハンガリー・カトリックの総本山だけあって、やはりスケールが違うと言うべきか。
 大聖堂のある丘から眺めるドナウ川の眺めも素晴らしい。対岸はもうスロヴァキアの町・シュトゥロボである。そこに国境があることがあまり感じられないのは、第一次世界大戦までこの対岸一帯もハンガリー領だったせいなのかもしれない。

 12時30分、バスはエステルゴムを後にしてドナウ川沿いに東に進む。この辺りは、西から東へとゆったり流れるドナウを山々が挟みこんで見事な峡谷を形成している。30分ほどして、川が大きく湾曲し、川を見下ろす山の上にお城のようなものが見えてくると、バスは道を右に折れて曲がりくねった山道を登って行く。そして、バスは風光明媚な名所として名高いヴィシェグラードの要塞に入るかと思いきや、そこを素通りして近くのレストランに入ってしまった・・・。やはりツアーらしい光景である。
 かつて14・15世紀にはここヴィシェグラードのドナウ河畔にハンガリーの王宮があり、山上の要塞はハンガリー防衛の要であった。が、そのような歴史に思いを馳せる暇もなく、昼食が登場し、店内は楽団の生演奏で大いに盛り上がる。
 1時間ほど後、14時30分にバスは出発する。途中の山道からは、山々の間で大きく湾曲するドナウの姿をかろうじて楽しむことができた。

 しばらくドナウ川と離れて南に進み、15時15分頃にセンテンドレに到着する。センテンドレは古くから商業都市として栄え、セルビア人が多く住んだ町でもある。昔の町並みが残り、カトリック教会はもちろん、セルビア正教会など、様々な形式の教会が見られる。人気の観光地なので人も多く、しかも雨が降ってきたから傘をさしての街歩きはけっこう大変である。

 17時。せっかく雨も止んできたのだが、もうブダペストへ帰る時間だ。ここからはでドナウ川を下る。船上から眺めるセンテンドレの町並みもなかなかきれいだ。せっかくだからデッキで川の景色を楽しもうと思ったのだが、5月のドナウの川風は、とてもその寒さに耐えられるものではなかった。しばらく暖かい船内に退避。

 1時間ほどして、オーブダのマルギット島南端に架かるマルギット橋が見えてきた。橋を支える大きな彫刻がはっきりと見える。そして国会議事堂が、その大きくて美しい姿を現す。船はここでほぼ180度旋回してブダの船着場に到着する。
 ブダを出発した船は、堂々と聳える王宮を右手に見ながらくさり橋をくぐり、そしてペストの船着場に到着する。9時間がかりのツアーはここで終了する。

続く
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