ヨーロッパ横断鉄道旅行-第2弾(アテネ→ブダペスト)(15)

ブダペスト行き列車(ブダペスト駅)(2)
スポティツァ→ブダペスト

 列車はスポティツァの通関オフィスに20分ほど停車した後、15時26分に発車する。セルビア北西部に向かう線路と分岐すると、無人の雪原の中を進む。どこが国境だか判然としないが、しばらくすると集落が見えてきた。ここはもうハンガリーだろう。15時38分、ハンガリーの国境の駅ケレビアに到着する。セルビアとハンガリーの間には時差はない。

 真っ先にやって来たのは出入国係官ではなく、ここで交代した車掌だった。いつものように検札を行う。その後、係官が乗り込んで来てパスポートに押印する。ハンガリーはシェンゲン条約の加盟国だが、セルビアはそうではないので、ここでパスポートチェックが必要なのだ。この間、またもや機関車が交換されたようだ。

 15時50分、ブダペスト始発・ベオグラード行きの列車が隣のホームに入線する。こちらは予定通りである。一方、我らがブダペスト行きの列車は予定より1時間近く遅れている。
 通関手続きも無事に済んだようで、列車は16時5分に発車する。と思いきや、列車はすぐに停車して、今度はバックを始める・・・。そして別のホームに入線してしまった。
 16時20分、ベオグラード行きの列車は予定通り出発して行った。だが、ブダペスト行きの列車は動く気配すらない。通関手続きも済んでいるはずで、これ以上停車し続ける理由はないはずなのに。

 ここで私にはある推測が浮かんだ。時刻表をめくってみると、ケレビアを16時46分に発車してブダペストに向かう791というハンガリーのローカル列車がある。予定より相当遅れているこの列車はスイッチバックして、別のホームに停車していた791列車に連結されてしまったのではないか?

 そして16時46分、推測通り列車は発車した。やはり791列車と統合されたのだ。辺りは既に真っ暗になっていて、雪に覆われたハンガリーの大平原の景色を見ることはできない。また、ローカル列車と統合されたので、これ以後無数の駅に停車することになるが、ここでは主な停車駅のみ記載する。

 17時16分、キシュクンハラスに停車する。ここではハンガリー南部を東西に結ぶ路線と交差する。何と、ここでも機関車交換が行われ、17時24分に発車する。17時56分、キシュクルスに停車する。ここでは、ケチケメートから南西に伸びてカロチャに至る路線と交差する。18時30分、フルプスザラスに停車する。ここで右に分岐した線路もケチケメートに向かう。18時47分、クンセントミクローシュ・タスに停車する。ここではドナウ川東岸を北上してきた線路と合流する。
 19時30分過ぎ、辺りにたくさんの灯りが見えるようになった。いよいよブダペストの市街地に入ったようだ。そして列車はブダペスト市内に張り巡らされた複雑な路線網に入って行く。19時45分、クーバーニャ・キシュペストに停車する。ここは791列車の終着駅である。791列車の本来の到着予定時刻は19時51分だから、791列車は予定よりも早く着いたのだ。
 791列車を切り離した後、我らが列車は19時59分に発車する。列車は他の線路との合流や分岐を繰り返しながらゆっくりと進み、20時9分、ついにブダペスト東駅に到着した。予定より2時間以上の遅れ、ベオグラードを出発してから10時間以上の旅であった。

 ケレビアに到着して以来、車内の暖房は十分に効いていたから(セルビアではどうして効かなかったのか?)、外の寒さなどすっかり忘れていたのだが、一歩車外に出ると強烈な寒さが襲ってくる。マイナス4度であったベオグラードよりもはるかに寒く、それは寒いというよりも「痛い」という方が正確だ。
 ここからは地下鉄に乗る必要があるのだが、駅の内部から地下に通じる通路は工事中で塞がれているので、いったん外に出てから地下道に入る。東駅の入口は凱旋門のような造りになっていて、アーチの上部はガラス張りという立派なものだ。

 地下鉄に関する詳細については後の記事で書くことにして、私は東駅から地下鉄M2に乗り、デアーク広場でM3に乗り換えて市街地の北部に向かった。
 地下鉄の駅を出て、雪で凍った道を滑らないようにゆっくり歩いてホテルに向かう。部屋に入って一安心すると、夕食がまだであることに気づいた。とは言え、この近くにはレストランなどないから、ホテル内のレストランに行く。広いものの、客らしき人影が全く見えない薄暗いレストランの奥に進むと、マスターが一人でいるのを発見・・・。
 こんな寒い晩ゆえ、私の頭の中にあったメニューはただ一つ、ハンガリー名物・グヤーシュ(パプリカのスープに肉や野菜を煮込んだもの)だった。

続く
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