ヨーロッパ横断鉄道旅行-第1弾(イスタンブール→アテネ)(1)

スィルケジ駅(3)
1日目

イェシルユルト→スィルケジ

 ドバイ発の飛行機は、15時過ぎ(日本時間マイナス6時間)にイスタンブール・アタテュルク空港に降り立つ。成田を出発してから24時間が経とうとしていた。
 空港からイスタンブール中心部に出るには、前回の旅行で使った地下鉄に乗った方が便利なのだが、今回はルートを変えてみた。

 空港からタクシーに乗り、10分ほどでTCDD(トルコ国鉄)のイェシルユルト駅に到着する。イスタンブールのヨーロッパ側ターミナル・スィルケジ駅から西郊の都市・ハリカルまでは、各駅停車の近郊電車が運行されている。今回はそれに乗ってスィルケジ駅まで行くのである。近郊電車の本数はそれほど多くなく、1時間に3~4本程度である。近郊電車の乗り方は、イスタンブールの地下鉄やトラムと同様、窓口でジェトンという専用コインを購入し、それを改札機に投入するだけだ。
 しばらくして、ハリカル行きの列車がやって来た。車体は相当にボロい。それよりも驚いたのは、列車が停車する前にドアが全開になったこと、さらには発車しても閉まりきらずにダラーンと左右に揺れ動いているドアが少なからずあることだ・・・。
 16時10分過ぎ、スィルケジ行きの列車に乗り込む。座席が駅のベンチのような硬いプラスチック製であることを除けば、車内の様子は日本の通勤電車とさほど変わらない。いや、私の目の前のドアは、ダラーンと半開きの状態だ。日本の通勤電車と同じ感覚でドアにもたれかかろうものなら、即座に命を失うだろう・・・。そのためなのかはわからないが、車内には警備員が何人も乗り込んでいる。

 列車は、5つ目の駅・カズルチェシメにしばらく停車する。しばらくして反対側の列車がやって来て、こちらの列車も出発する。ここまでは複線だったのだが、この先に単線区間があるようだ。カズルチェシメを出発するとすぐ、車窓に城壁が現れる。ここはイスタンブール旧市街の西側を南北に貫くテオドシウス城壁の南端・イェディクレ(7つの塔)と呼ばれる要塞である。北・東・南の三方を海に囲まれたイスタンブール旧市街だが、西側だけは陸続きである。その西側を守っていたのが5世紀に造られたテオドシウス城壁だ。そうこうしているうちに列車は城壁に近づき、塔の真下をかすめて行く。この辺りで線路は単線となる。
 次の駅は、その名もイェディクレなのだが、ここからは再び複線に戻る。次第に市街地に入って行く。クムカプを過ぎると、右手にはボスフォラス海峡、左手には大きなモスクが見える。そしてジャンクルタランを過ぎるとトプカプ宮殿の真下を通り、宮殿の北端にある大きなカーブを抜けると、いよいよスィルケジ駅の構内が見えてくる。16時50分過ぎ、列車はスィルケジ駅に到着する

 スィルケジから先に鉄路はない(アジア側のターミナルは前回到着したハイダル・パシャ駅である)ので、この駅は東西に伸びるホームが数本並び、西側にある1本の通路でつながっているフォーク状になっている。一番北側にあるホームがひときわ広くなっているが、ここがかつてオリエント急行が発着したホームであり、今でもヨーロッパへ向かう特急列車が発着している。ホームの北側には立派な待合室やホールを含む大きな駅舎が今でも残っている。駅舎の外観は見るからにヨーロッパ風の重厚な造りである。現在のスィルケジ駅の主要な出入り口は西側にあるため、北側にあるこの駅舎を出入りする人は少ない。

 スィルケジ駅から歩いてエミノニュに向かう。岸ではたくさんの人が釣りを楽しんでいる。ここでは主に小魚が獲れるようだ。やがてガラタ橋が見えてきた。橋の下にはたくさんの飲食店が軒を連ねているので行ってみる。見上げると橋の上から釣り糸が垂れてくる・・・
 ガラタ橋の名物と言えば、鯖サンドだ。焼いた鯖をパンで挟んだだけのシンプルなものだが、とてもおいしい。これをトルコのビールと共にいただく。

 すっかりいい気分になったところで、予約していたホテルに向かう。場所はスィルケジ地区だ。スィルケジ駅からトプカプ宮殿に向かう途中にあり、狭い道路の両側にたくさんのホテルや土産物店が軒を連ねている。店が多過ぎるためか、ホテルの場所がなかなか見つからない。人に道を聞いて、そのホテルがあるという辺りを歩いてみるのだが、やはりそれらしき建物が見つからない。もう酔いも醒めてしまい、少々焦る。その時、なぜか理髪店のおじさんに手招きされる。訝りながらも店の中に入ってみると、おじさんは店の奥のドアを開いた。そのドアに入ってみると、何とそこはホテルのフロントだったのだ・・・。もちろん、そのホテルには別の入口があったのだが、そこはとても小さくて目立たない。今までも何人もの旅人が理髪店経由でホテルに入ったに違いない。

続く
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