シルクロード鉄道旅行-第5弾(アルマティ→シムケント)(12)

頤和園(4)
帰途 付:北京の休日

 アルマティ2駅を出ると、いったん南に歩いてパンフィロフ戦士公園に行き、少し休憩する。その後、再び北へと歩いて中央バザールに立ち寄り、サヤハット・バスターミナルへ向かう。ここは市内や郊外に向かうバスの多くが集まる所だが、行き先別に乗り場が分かれているわけではなく、単に多くのバスがやって来ては停車しているだけだ。バスの数が多いと全てが道端に停車できず、道路の真ん中に停まったりしている。気をつけていないと見落としてしまいそうだ。案の定、空港行きの92番バスが道の真ん中に停まったので急いで駆け寄る。バスは順調に空港へと向かう。
 空港ターミナルのはるか手前でバスを降ろされるのは前回の旅行で学んだことなので、バス停からターミナルへとスタスタ歩いて行く。ターミナルでもしばらく休憩し、チェックインの開始を待つ。
 14時30分過ぎ、チェックインが始まる。カウンターに並ぶその直前で、税関による手荷物のX線検査が行われる。だが、検査が終わっても係官はパスポートを返そうとしない。嫌な予感だ・・・。見ると、ほとんどの乗客がパスポートを取り上げられている。そして2人ずつ小部屋に呼び込まれる。その部屋には係官が2人いて、それぞれ1人の乗客を「尋問」している。係官は私に財布の中身、特にテンゲ(カザフの通貨)を数えさせる。確かに大量の通貨持ち出しは違法だろうが、私はほとんど持っていなかった。だが私が数え終わると、係官は「少ないなあ」という表情をしながら、札を1枚堂々と抜き取る。私の頭の中が「???」となっている間に、抜き取った札を読んでいる(と見せかけた)雑誌の中に挟みこむ。その雑誌の至る所に札が挟まっている・・・。悪名高き中央アジアの官憲、ここに健在である。
 出国審査の方は、前回のようなトラブルもなく順調に終わった。そして16時20分、北京行きのKC887は予定通り出発。今度は機内食も食べることができた。大きな牛肉の塊。いかにもカザフらしい。23時前に北京空港に到着。

<8日目 北京観光>
 飛行機の予約の関係で、北京に1日滞在せねばならなかった。1週間近く旅をしてきたので、ここでちょっと力を抜いて軽い観光をしようと思った。ホテルは空港の近くだったので、いったん空港まで行き、そこから市内へ向かうリムジンバスに乗る。バスは1時間ほどで北京駅前に到着。
 ここから地下鉄2号線に乗り、西直門で下車。西直門から13号線に乗る。13号線は近年北京に急ピッチで建設されている軌道交通の一つで、2号線の西直門駅と東直門駅を北に大きく回って結んでいる。13号線は地下鉄ではないのだが、システムは全く同じで、誰でもすぐに切符を買って乗ることができる。1・2号線にはない自動改札も、ここでは導入されている。
 西直門を出た列車は、主要道路の上を横切りながら北に進んで行く。3つ目の駅、五道口で下車。駅の真下を通る広い道路でタクシーを拾おうとするが、何らかの規制があるのか、全く停まってくれない・・・。結局しばらく西に歩いて、ようやく乗ることができる。そしてこの日の目的地、頤和園へと向かう。

 頤和園は清の乾隆帝が整備し、後に西太后の専用避暑地になった広大な庭園である。中国での庭園では、蘇州の拙政園や上海の豫園に私は行ったことがあるのだが、これらと同じような感覚で行ってしまったのが、そもそもの間違いの元だったのだ。
 道は相当に混雑していたが、それでも午前中には着くことができた。中に入ってみると、そこは確かに昆明湖を中心とした広大な庭園だ。しかし、庭園の至る所に分布している建築群の数とその質がものすごい。美しい宮殿寺院の数々、さらには皇帝のお買い物ごっこ用に作られたミニチュアの街まであるのだ。結局、閉園時間(18時)近くまでいたのだが、全てを見ることはできなかった。軽い観光のつもりが、ヘトヘトになってしまった・・・。

 帰り道も五道口駅までタクシーで行き、13号線に乗る。車窓には広い線路と長い車両群が現れる。やがて、大きな駅が見えてきた。実は、これが(軌道交通ではない正規の鉄道の)北京北駅であり、西直門駅に隣接しているのである。3年前、私がシルクロードの旅に出発したのは北京西駅なのだけど、この駅の情景はそれを思い起こさせる。あれから3年、私の旅は随分遠くまで進んだが、目指すヨーロッパへの道はまだ遠い。目の前を過ぎ行く駅の姿を、私は新たな気持ちで見送った。

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