ときわ路鉄道旅行(10)

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鍾乳洞

 菅谷駅で降りてみたまでは良いものの、私はすぐにそのことを後悔した。なぜなら、駅前にはバス停どころかタクシー乗り場すら無いからだ・・・。これから私が行こうとしているのは入水鍾乳洞であり、この駅はその最寄駅であるはずなのだが・・・。駅の待合室を見渡すと、タクシー会社の電話番号が書いてある。とりあえずそこに電話してタクシーを呼ぶ。
 タクシーを待つ間、待合室にあった鍾乳洞のパンフレットを読む。それによると、この周辺には入水鍾乳洞の他にもあぶくま洞という鍾乳洞もあるとのこと。いろいろ考えた末、結局あぶくま洞に行くことにした。だが、あぶくま洞は1つ先の駅、神俣からの方が近いのだ・・・。

 タクシーは磐越東線に沿ってしばらく南へ向かい、東へと進路を変え、阿武隈高地の最高峰、大滝根山へと続く山道を登る。着いた所は、背後に真っ白な岩肌が露出している場所だった。先程列車から見えた山と同様、かつては石灰石の採掘場だったに違いない。石灰岩が水に侵食されてできる鍾乳洞がここにあるのは納得がゆく。
 チケット売り場から狭い通路を進んで奥に進むと鍾乳洞の入口がある。中に入ると、長い年月をかけて侵食されてきた鍾乳石が次々と現れる。洞窟の途中で、追加料金が必要な「探検コース」が分岐している。「探検コース」へと進んでみる。天井は所によって非常に低くなり、その天井からは水が滴り落ちる。急な階段もある。素人向きにしてはなかなかハードなコースだ。
 洞窟の奥までたどり着くと、今度は一転して巨大な空洞が現れる。隅には神殿の柱のような岩が聳え、中央部には彫刻のような岩も立っている。それらは独特のライトアップによって、より神々しく見えるのだが、それらを造りあげたのは自然の力に他ならないことに驚嘆せざるをえない。

 洞窟の外に出ると、何だか別世界から帰還したような不思議な気持ちがするが、時計を見て現実に引き戻される。次の列車まで時間が無いのだ。すぐにタクシーを呼んで菅谷駅へと戻る。

続く
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