立山・黒部 水流紀行(3)

画像
黒部ダム

 トロリーバスを降りてから、地下の階段をひたすら上る。階段は長く、どこまでも続く。ようやく地上の光の中に出る。雨は小降りになっている。眼下には巨大な黒部ダムが広がる。深い山々の間にどっしりと聳え立つその姿は、周囲から攻め寄せる巨大な自然の力にかろうじて抵抗する要塞のように見える。
 そして今度は、急斜面にへばりついたような階段を下りてゆく。ダムからはものすごい勢いで水が放たれている。観光客向けにわざと放水しているのだ。こんな高所に立っているだけで怖いものだが、誰にも止めることのできない水の勢いは、見る者の心にさらなる怖れを呼び起こす。
 ようやく階段を下りて、ダム堤を渡る。ダム堤から真下の黒部川を見下ろす。200メートル近くも下にある川の姿は、放水の水しぶきの中で霞んで見え、ダム堤との高低差をあまり感じさせない。

 ダム堤を渡りきったところにトンネルの入口がある。トンネルを奥へ進むとケーブルカーの黒部湖駅があるのだが、その手前で道を折れると黒部湖の遊覧船乗り場につながっている。
 言うまでもなく、黒部湖は黒部ダムのダム湖だ。私は遊覧船に乗って、黒部湖の上流へと向かう。船の左右には立山連峰(立山など黒部川の西側の山々)と後立山連峰(黒部川の東側、長野・富山県境の山々)の山々が広がっているのだが、上空の厚い雲は最後まで山々の全体像を見せてくれない。

 船を降り、再びトンネルを通って黒部湖駅へと向かう。

続く
目次へ

"立山・黒部 水流紀行(3)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント