シルクロード旅行-番外編1(上海→嘉峪関)(9)

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魏晋壁画墓・長城第一墩

 昼食はどこに連れて行ってもらえるのか期待していた。小さな町なので、その店が気に入れば夕食時に行くこともできるからだ。だが、着いた先はどこか見覚えのある建物。私の泊まっているホテルだった・・・。結局、観光客に勧められるレストランはここぐらいしか無いということだろうか。
 食事後は、午後3時まで休憩。日中の暑さの厳しいこの地では、昼休みが長いそうだ。

 3時過ぎ、町の北西にある魏晋壁画墓へ向かう。砂漠の中の道は舗装が不十分で、何kmにもわたって車が激しく揺れる。それがかえってシルクロードの旅の雰囲気を醸し出す。
 墓は砂漠の真っ只中にあった。大きな土まんじゅうの端から細い煙突が突き出ている。この下が墓である。煙突は、換気により内部の湿気を除去するためのものだ。墓の内部は、外の土まんじゅうからは想像もつかないほど立派なものだ。壁はレンガが精巧に組み合わされ、レンガの間には様々な生活のシーンを描いた壁画が配置されている。床の一部が保護されているものの、1600年以上も前の壁や床をケース越しでなく目の当たりにできることに感動する。『三国志』でおなじみの魏晋王朝の時代には、この辺りは今よりも湿潤で、絹の生産も盛んだったらしい。この墓の主は、そのようにして栄えた土地の有力者だったようだ。今まさに「シルク」ロードを旅しているのだという実感が湧いてくる。

 ツアーの最後に、長城第一墩に行く。「墩」とは物見台のことであり、これぞ万里の長城の西端の物見台なのだ。場所は、嘉峪関の南を流れる北大河の断崖だ。北から続く長城の城壁は、この北大河の断崖で尽きている。北大河の南岸には祁連山脈が聳え立つ。北大河は長城の「堀」のような役割を果たしているのだ。
 断崖をくり抜いて造られた展望台からは、長城第一墩を含めた北大河の断崖や、対岸の祁連山脈を一望できる。対岸へ渡る一人乗りのロープウェイ(単に紐で人をぶら下げるだけ・・・)があった。勧められたが、とても乗る気がしない。だが、今立っている展望台のテラスの床を見て仰天した。厚いガラス張りのその床の下には、はるか下の川面が透けて見えるのだ・・・。このテラスは断崖の横に張り出しているだけなのである。
 長城の外側には、復元された当時の兵舎が建ち並んだ一画がある。そこから北大河に架かる細い吊橋を渡る。幅が一人分しかない吊橋は、一歩進む度によく揺れる。川の真上でドキドキしながら、長城第一墩の方を見遣る。自然の営みと人の営みが、ここでは一体となって見事な景観を作り上げている。

続く
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