ヨーロッパ横断鉄道旅行-第15弾(マルセイユ→バルセロナ)(13)

コリウール城(1).jpg
水城

 コリウールの駅前に出てみたものの、私はどこに行ったらよいかわからず、しばらく思案していた。なぜなら、この町のことは日本のガイドブックには書かれておらず(2017年時点)、何の情報も持ち合わせていなかったからだ。それなら、なぜこの駅に降りてみたかったのかと言えば、前日に列車でここを通った時、車窓に飛び込んできた入江とそれに面する立派な建物に思わず惹かれたからだ。
 いつまでも考えていても仕方ないので、とりあえず駅から続く一本道を通って坂を下りる。すると、わずか数分でコリウールの街に出る。想像以上に賑わっている街だ。時間的にもちょうどよいので、まずは昼食とする。メニューを見ると、ラッキーなことにブイヤベースがあるではないか!ここは「南仏」であったなあと納得しつつ、迷わずそれを注文、メインはお昼なのであまりがんばらずハンバーガーとする。お供はロゼ。

 すっかり満腹になってレストランを出た後、ふと見ると街のあちこちにある旗が立っていることに気が付く。黄色と赤の縞模様の旗、もちろんフランス国旗でもスペイン国旗でもないが、どこかで見覚えのある旗。しばらく考えて、それがカタルーニャの旗であることを思い出した。なぜここに?

 そんな疑問を抱えつつ、街を散策する。入江の北西側が特に賑わっているが、海辺から一歩中に入ると狭い路地になっていて、その両側には土産物店やギャラリーが多い。街外れには教会が建っていて、その先には岬(たぶん昔は島というか岩礁のようなところだったのだろう)が突き出ている。そこから突堤が突き出ているので、行ってみる。その突堤から振り返った街の姿に、思わず息を吞む。これは、前日車窓から見た景色をちょうど反対側から見たものだったからだ。入江の北西側の一角が凹んでいて、おそらくそこは港なのだろう。その港を挟むように2つの建物が建っている。一つは街外れの教会で、この塔が灯台の役割を果たしていたのだろう。そして、その反対側に聳えるのは大きな城だ。

 そうなると、次に行きたくなるのはその城だ。幸いなことに、コリウール城は観光地として開放されていたので、さっそく入る。城内の建物はよく保存されていて、内部の構造もけっこう複雑だ。
 今では個人用のクルーザーくらいしか停泊していないこの町に、なぜこんな立派な城が建っているのか?そして、カタルーニャの旗が立っているのはなぜか?その答えを探っていくと、意外な歴史に気が付く。ここコリウールを含む一帯はもともとカタルーニャの一部であり、1659年にフランス・スペイン間で結ばれたピレネー条約以前はスペイン領であった。さらに、このカタルーニャの北部においては、ペルピニャンに取って代わられる以前は、コリウールがその中心地であった。
 このことはさらに、別の疑問にも答えてくれる。ペルピニャンの北にある駅から、駅名表記にフランス語以外もう一つ加わっていることを私は既に見ていた。この表記はカタルーニャ語であったのだ。
 やがて、私は城の屋上に出る。そこからはコリウールのと、を一望することができる。

 海に面したこの美しい古都にすっかり満足することができたものの、私には一つ心残りがあった。それは天気だ。明るいパステルカラーの建物を輝かせる晴れ間が見たい・・・。天気の回復をしばらく待った。
 17時過ぎ、ようやく雲の隙間に青空が顔をのぞかせる。前日のような快晴の下ほどではないが、が華やいだ気がする。

続く
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