ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(13)

カシ海岸からカナイユ岬を臨む
断崖

 正午過ぎ、マルセイユ・サン・シャルル駅を出て駅近くのホテルにチェックイン。すぐさま駅に引き返して昼食。
 13時4分、トゥーロン行きの列車で出発。13時8分、マルセイユ・ブランカルドに停車。だが、ここで異変が発生する。何と列車の電源が落ち、照明もエアコンも止まってしまったのである・・・。車掌がやって来て、何か説明しているのだが、さっぱりわからない・・・。誰も降りようとしないから、運転見合わせでこの列車が回送化することはないということを辛うじて理解するのみだ。
 しばらくして電源が入り、エアコンもオンになった(夏場だからこれだけでも嬉しい)。対向列車がやって来たから、この列車も動くかと期待したが、それはなかった・・・。後からやって来たTGVも、ここで停まったままだ。
 結局、停車してから約40分後の13時49分にようやく発車する。

 列車はユヴォーヌ川を遡り、14時ちょうどにオバーニュに停車。ここから山越え区間に入り、トンネルを抜けると14時10分にカシに停車。私はここで下車する。

 高台にある駅から、海岸にあるカシの町までは少し距離があるのでバスに乗りたい。だが、本来間に合うはずだった14時5分発のバスはもう行ってしまった・・・。同じ期待を持っていたに違いない多くの乗客と共に、小さな駅舎の前でバスを待つ。
 待つこと約1時間(待つことの何と多い日であろうか)、ようやくバスがやって来る。バスと言ってもマイクロバスだから、利用客はあまり多くないのであろう。15時5分に発車。

 バスはずっと坂道を下ってカシの町に入り、終点のカジノ前に到着。海岸に歩いて行って、思わず息を吞む。彼方にぐっと突き出た赤く巨大な断崖(カナイユ岬)と手前に広がる青く透明な海の見事なコントラスト!

 だが、あまり見とれている暇はなかった。カランク巡りのクルーズ船がもうすぐ出航しようとしている。船が港の入口を過ぎると、カナイユ岬が再び姿を現す。船はスピードを一気に落として、深く抉られた入江(カランク)に入ってゆく。海面の上昇と下降が深くシワを刻み込んだ白い岩肌が印象的だ。そして船は再びスピードを上げて、へと戻ってゆく。

 陸に上がると、今度は港の先端に行く。目の前の海は、時折行き交う小さなクルーズ船以外には動きがない。岸壁や周囲の建物の白と海の青のコントラストが、止まった時間の中で固定される。

 町の中心部、カシ城の見える辺りで少々早い夕食をとる。カシ特産の白ワインとシーザーサラダという簡単なものだが、辺りの景色と相まって、とてもおいしい。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(12)

マルセイユ行き列車(マルセイユ・サン・シャルル駅)
5日目
イエール→トゥーロン→マルセイユ

 8時35分過ぎにイエール駅に向かう。電光掲示板を見ると、マルセイユ行きの列車が8時38分発になっている。何で調べたかは忘れてしまったが、私は8時58分発だと思っていたので、ちょっと慌てる・・・。もはやこのタイミングでは切符を買うことは困難だし、焦って行動を起こすとロクなことがないので、ここは諦めて次を考えよう。
 次の列車は・・・9時18分発で始発のTGV(パリ・リヨン駅行き)だ。だが、この列車はマルセイユを通過してしまう・・・。やむなく、トゥーロンまでの切符を買う。このTGVは既に入線していたが、まだ準備中であった。

 9時過ぎ、TGVに乗車。そして定刻の9時18分に発車する。TGVであるから、途中駅は当たり前のようにすっ飛ばしてトゥーロンに停車。9時33分。

 既に朝食も済ませていたので、特に何もすることなく、トゥーロン駅で時間を過ごす。
 10時45分、マルセイユ行きの列車が到着。これはニース始発らしく、かなり混んではいるが、それでも2階建て車両であり、2階席にはまだ空席があったので座れた。
 10時51分に発車。列車はトゥーロンの市街地を東西に横断するとラ・セーヌを通過して大きな操車場を抜ける。普通列車だと思っていたが、どうやら快速だったようだ。
 郊外に出ると、丘陵が広がり、その上には住宅地が連なる。次いでバンドル湾の青い海が左手に現れる。やがて海から離れていったん内陸に入る。
 サン・シル・シュール・メールの辺りで再び海が姿を現すが、それも長く続かず、再度内陸へ、それも山道を上る。カシを通過すると長いトンネルに入る。
 トンネルを抜けたところは大きな町・オバーニュだが、ここも通過する。ここからはユヴォーヌ川に沿って西に進む。ラ・ポムの辺りで川から離れる。ブランカルドを通過すると、市街地はさらに大きくなり、線路が束になる。ここまでノンストップで飛ばしに飛ばしてきた列車が、ようやく徐行を始める。やがて北東方向から来た線路の束と合流して、束はますます太くなる。そして、列車はマルセイユ・サン・シャルル駅にゆっくりと入線し、停車。11時30分。

 到着したのは前方に張り出したホームだったから、駅舎まではけっこう距離がある。出口は途中にもあるので、何も駅舎まで行く必要はないのだが、駅舎を見るのも鉄道旅行のうちである。
 やがて屋根を構成する巨大な鉄骨が現れる。何だか船のドックか工場に入る気分だ。屋根の下に入ると、そこはさすがに厳しい日差しから守られ、涼しい。
 そして、ホームの先端を越えてようやくコンコース(何だか空港のようだ)にたどり着く。この駅も他のヨーロッパの大都市の駅と同じく、コンコースの先に頭端式のホームがずらりと並ぶ構造になっている。

続く
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