ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(3)

ディーニュに到着した列車
(支線)アントルヴォー→ディーニュ・レ・バン

 列車はアントルヴォーに停車している。本来なら「私はここで下車する」と書きたいし、あの砦に登ってみたいところなのだが、日程の都合上プロヴァンス鉄道に使えるのは1日のみ。ここで下車してしまうと終点のディーニュ・レ・バンまで行ってニースに戻ってくることは難しくなってしまう。というわけで、泣く泣く列車に乗り続ける。

 列車はアントルヴォーを発車。ヴァール川の峡谷を上流へと進む。やがてヴァール川とは分かれて、その支流の峡谷を進む。11時23分、アノに停車。そこそこ大きな集落で、ピュジエ・テニエ始発のあのSL列車の終着駅もここである。
 勾配はますますきつくなり、トンネルも断続する。11時32分、ラ・フュージュレに停車。発車すると、ほぼループに近い大きな連続カーブを抜けて、標高はさらに高くなる。岩山の上に何か建物が見える。11時38分、メアイユに停車。

 列車は次のPeyrseqを通過すると、ここから長いトンネルに入る。トンネルを抜けるとまた峡谷だが、これはヴェルドン川といい、ヴァール川とは別の流れである。トンネルの間で分水嶺を越えたようだ。11時47分、トラム・オートに停車。ここで対向列車を待ち、11時56分に発車。今度は峡谷を下って進む。峡谷は次第に開けて、森林が辺りに広がる。12時8分、サンタンドレ・レ・ザルプに停車。川はこの辺りで湖となり、町にはホテルやキャンプ場も多いようで、下車する人も多い。私も降りてみたくて仕方ないのだが・・・。

 列車はそんな景色には脇目もふらず、川とは分かれて再び山を登り始める。長いトンネルの途中までは上り坂であったが、途中から下り始める。12時15分、モリエ。12時27分、バレームに停車する。バレームの辺りにもキャンプ場があり、多くの乗客が降りる。列車はアッス川の蛇行する川筋に沿ってどんどん下る。12時37分、ショドン・ノラントに停車。近くには切り立った岩山も見えるが、川の周辺は比較的平坦になっている。12時43分、シャブリエールに停車。列車はアッス川とも分かれて、網の目のようになった細かい川筋の中を縫うように走る。12時50分、メゼル。13時ちょうど、ゴベールに停車。
 辺りはいよいよ平坦になり、大きな町が現れる。列車はブレオーヌ川を渡って右に曲がると、西から来た謎の線路と合流し、ついに終点のディーニュ・レ・バンに到着する。13時5分。約3時間40分という、普通列車にしては長い旅路であった。ディーニュ駅はホームは片側1面のみの小さな駅だが、構内はけっこう広い。西から来た謎の線路は、貨物線なのかもしれない。

 せっかくなので、ディーニュの街を少し歩いてみることにする。ブレオーヌ川に架かる花で彩られた橋を渡って少し見渡してみる。ディーニュは温泉保養地として知られているが、ホテルなどは多くあるものの、日本の温泉街とは全く雰囲気が異なり、日帰り温泉施設や娯楽施設があるわけでもなく、ちょっと来ただけでは何もすることがない・・・。もう少し歩けばレストランもあったようだが、がっつり食べる時間的余裕もなく、かと言ってファーストフードを食べるためにあまり歩く気も起らず・・・。ニース行きの列車に乗るために、すごすごと駅に引き返すのであった。

続く
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ヨーロッパ横断鉄道旅行-第14弾(ニース→マルセイユ)(2)

ディーニュ行き列車
2日目
(支線)ニース→アントルヴォー

 空はよく晴れている。国鉄線のニース・ヴィル駅を通り越して少し北へ歩く。朝市であろうか、街の一角に果物・野菜・花が並べられている。
 徒歩数分で、もう一つのニース駅にたどり着く。こちらのニース駅は人の出入りも少なく、うっかりするとそれと気づかないかもしれない。「プロヴァンス鉄道」という、その名もゆかしい鉄道の起点である。駅前には沿線のマップが描かれている。ホームにはパンタグラフのない2両編成の列車が既に入線、と言うか、1日にわずか数往復の運転であるから、運転していない時間はホーム上で待機しているに過ぎないのであろう。このような路線である以上、電化されているはずもなく、動力はディーゼルである。だが、デザインを見る限り、まったくローカル線らしくない洗練されたものだ。何だかプロヴァンスの矜持のようなものさえ感じる。

 前回の旅で乗ったタンド線と同様、このプロヴァンス鉄道(地元ではCP線と略されるようだ)もまた山へ向かう。それを暗示するかのように、線路の先には丘陵が見える。

 タイトルに示したように、この路線は私が西へ西へと向かうための路線(これを「本線」と呼ぼう)ではないのだが、全長約150kmにもおよぶため、1回の記事では書ききれない(もったいない)ので、これから数回に分けて書こうと思う。

 さて、9時頃になって列車の扉が開き、乗車可能になる。ホームで待っている人も少なく、余裕で1番前の座席に着く。発車前には既に検札も済んでしまう。言い忘れたが、この列車はプロヴァンス鉄道のもう一方の起点、ディーニュ・レ・バンへ向かう。

 9時26分、いよいよ発車する。ホームを離れた瞬間、線路は1本に収束する。次の駅Gambettaを通過(どうやら主要駅以外は、乗客がリクエストまたはホームに待っている人がいる場合を除くと通過する、いわゆるリクエスト・ストップである)すると、駅からも見えた丘の下のトンネルを抜ける。その後も断続してトンネルが続く。
 9時33分、Le Madeleineに停車。ここで初めての対向列車待ち合わせとなる。その後もトンネルが断続し、ニースの西を流れるヴァール川のほとりに出る。9時40分、Lingostiereに停車。ここで一気に満席になる。駅の構内には車両基地もある。しばらくはヴァール川沿いの開けた平地を北上する。その後も次々と乗客が乗ってくる。

 やがて平地は徐々に狭まる。特に川の西側は険しい山になっていて、その中に村が点在しているのが見える。10時3分、Levens Plan du Varに停車。
 対向列車を待つこと12分、10時15分にようやく発車。ここからは平地はなくなり、峡谷となる。小さなカーブが続くため、列車もよく揺れる。10時19分、La Tinee Arretに停車。トンネルを抜けると、ヴァール川に沿って今度は西に進む。

 10時34分、Villars sur Varに停車。村は丘の上にある。Touet sur Varを過ぎると、少し峡谷が開ける。やがて少し大きな町、ピュジエ・テニエに停車、10時55分。隣のホームにはトロッコ車両そしてSLが停車している!これは、週末に運行されるというピュジエ・テニエーアノ間のSLなのであろう。これに乗るためか、大勢の乗客がピュジエ・テニエで降りてゆく。
 列車はさらに峡谷を西に向かう。岩山の上に大きな砦が見え、麓には岩に溶け込みそうなが見える。11時4分、アントルヴォーに停車。

続く
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CP線ニース駅


アントルヴォー駅