ヨーロッパ横断鉄道旅行-第13弾(ミラノ→ニース)(5)

映画博物館・展望台から
5日目

名残

 トリノを、そしてイタリアを発つ朝になった。思えばトリノに来てからまだ一度も青空を拝んでいないのであるが、この朝はついにそれが現れたのだ。そこで私は、ここ数日考えていた計画を実行に移すことにした。

 ホテルをチェックアウトすると、まず4番トラムでポルタ・ヌオーヴァ駅に向かう。駅のロッカーに荷物を預けると、また4番トラムに乗って折り返し、15番トラムに乗り換える。現代的なデザインの4番トラムと異なり、15番トラムはレトロ調のオレンジ色の車体である。ポー通りで下車すると、まっすぐにあの建物に向かう。あの建物とは、そう、映画博物館だ。

 9時のオープンと同時に中に入る。もうトリノカードは使えないから、普通にチケットを購入する。ただし、展望台のみのチケットである。エレベーターに乗る。もはや驚くことはないが、吹き抜けになった映画博物館は、いつ見ても幻想的だ。数分で展望台に到着。

 そこに現れた景色は、予想通りでもあり、予想以上でもあった。トリノ市街地の背後に聳える、雪で覆われたアルプスの山々。その上には真っ青な空が広がる。ここにもう一度来て良かったと心から思う。これがトリノの、そしてイタリアの最後の絶景である。

 ちらと時計を見て、踵を返す。シンデレラおじさんは、慌ただしくかぼちゃ色のトラムに乗って駅に向かう。

続く
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