ヨーロッパ横断鉄道旅行-第11弾(ローマ→ナポリ・ピサ)(7)

斜塔
斜塔

 ピサの駅前からバスに乗る。他の町と同様、バスに関するインフォメーションは極めて少なくてわかりにくいのだが、ガイドブックに書いてある通りに切符の自販機やバス停があるので助かった。LAMという路線バスのROSSA(赤)という路線に乗る。バスは通りを北上してアルノ川を渡ると、まもなく小さな城壁が見えてくる。城壁の前のマニン広場で下車する。

 城壁の小さな門をくぐると、そこには別世界が広がる。ドゥオーモを中心に、洗礼堂、カンポサント(納骨堂)、そしてあの斜塔が並び建っている。いずれも真っ白な大理石で覆われていて、ここが聖域であることを示しているかのようだ。

 斜塔以外の建物への入場は共通券になっていて、広場内の切符売り場で購入する。まずは広場の中心・ドゥオーモへ。中に入ると左右に円柱がずらりと並んでいる。奥の祭壇の天井には、東方のイコンを思わせるようなキリストの壁画がある。ヴェネツィアもそうであったが、同じく海上貿易で栄えたピサも東方からの影響を強く受けたのであろう。説教壇の装飾も素晴らしい。

 カンポサントへ。もともと納骨堂なのだが、壁画やフレスコ画などのギャラリーのようになっている。『死の凱旋』というフレスコ画がなかなか良かった。

 洗礼堂へ。小さな建物であるが、建物を円形に囲む柱や、六角形で統一された説教壇などの諸設備など、その形式的な美しさが自ずと伝わってくる思いがする。
 だが、この建物の魅力はそれだけではない。ちょうど13時になった時、それまで出入口で入場客のチェックをしていた人が急に建物の中央に歩いてきたかと思うと、天井に向かって祈祷文?を唱えだす。まるで仏教の声明のようで、実にいい声だ。そして驚くほどよく響く。音響効果まで計算された建物であったのだ。
 洗礼堂を出て、ふと振り返る。や、この建物も傾いてはいないか?

 そしていよいよ斜塔である。ここだけは事前の予約が必要で、入場時間も厳密に決められている。中に入ると、屋上までまっすぐに(正確には斜めにまっすぐに)穴が開いているのが見える。屋上へは階段で上がる。この階段も傾いている(正確には、同じ段の水平面が傾いている、と言うべきか)。
 この斜塔は、もともとドゥオーモの鐘楼であった。これらドゥオーモとその付属施設は、ピサがイタリアの4大海洋国家の一つとして繁栄していた時代(11世紀・12世紀)に建てられたものだ。しかし、その後アルノ川の流路が変わったりしたことでピサの繁栄も衰え、ついにはフィレンツェに併合される。そして港湾都市としての役割もリヴォルノに奪われる。そうした歴史を反映したわけではないだろうが、鐘楼も次第に傾き、いつしか「ピサの斜塔」として世に知られるようになったのだ。だが、少々傾き過ぎたらしく、これ以上の傾斜を防ぐ工事が近年行われたようだ。なかなか大変である。
 階段を上ると屋上に出る。ここからはドゥオーモの壮観だけでなく、ピサ市街から遠くの山々まで眺めることができる。

 帰りも往きと同じくROSSAバスに乗る。アルノ川を渡った時、川沿いの街並みがなかなか美しいことに気が付いた。いずれゆっくり歩いてみたいものだ。そう思っているうちに、早くもバスは駅に着いてしまう。

続く
目次へ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント