ヨーロッパ横断鉄道旅行-第9弾(ヴェネツィア→フィレンツェ)(10)

ファルネーゼ劇場(1)
7日目

ハムか芸術かチーズか

 この日はメーデーだった。ボローニャの見どころは軒並み休みになるので、当初の予定を変更して郊外に出かける。9時42分、ボローニャ中央駅にミラノ行きのIC580が入線。予想に反して1号車が末尾にある編成だったため、乗車位置が大きく変わる。大慌てで移動・・・。ICなので、客席はコンパートメントだ。
 9時48分に発車。ほぼ北西方向にまっすぐ進む。市街地を抜けて郊外の田園に入ると、特急専用線と分岐する。この専用線は、北からトリノ・ミラノ・ボローニャ・フィレンツェ・ローマ・ナポリ・サレルノを結んでいる。専用線を通る特急は、FR, FA, Italoで、ICやFBは在来線を通る。今分岐した線路は、ボローニャとミラノを結んでいるのだ。

 やがて列車は大きな市街地に入る。10時6分、モデナに停車。この町はフェラーラの領主だったエステ家が統治し、後にフェラーラを追われたエステ家が公国の都にした場所だ。見てみたいのはやまやまだが、この町の観光施設もメーデーのため休みである。
 列車はモデナをなかなか発車しない。そうこうしているうちに、後発の各駅停車が追い付いてしまった。10時23分、約16分遅れで出発。理由は不明だが、何かトラブルがあったようだ。すぐに田園風景に変わる。昨夜の雨で増水した川を渡る。

 再び大きな市街地。10時38分、レッジョ・エミーリアに停車。そしてまた田園へ。三たび大きな市街地。10時56分、パルマに停車。私はここで下車する

 パルマの駅前から、パルマ川に沿った通りを南に歩く。しばらくすると、左手に大きな建物が現れる。この町の領主・ファルネーゼ家の居館であったピロッタ宮殿だ。

 宮殿の中にはいくつか施設があるのだが、この日は何と全て無料!まさに労働者特典だ。
 まずは、国立美術館へ。おそらくファルネーゼ家のコレクションが中心になっているのだろう、コレッジョやパルミジャニーノの作品を含む名画がずらりと揃っている。壁一面に絵を並べる光景も久しぶりに見た。
 次いで、ファルネーゼ劇場へ。ヨーロッパ最古の劇場と言われているが、意外に広い。壁や柱の木目がそのままになっているところなど、素朴さを通り越して神的な威厳すら感じさせる。こういうところでぜひ音楽を聴いてみたい。

 宮殿の庭を抜けたところはジュゼッペ・ガリバルディ通りで、かなり賑やかなところである。この通りを渡って東に歩くと、ドゥオーモがある。ドゥオーモの外観は地味だが、中に入ると一変する。天井は一面絵画に覆われ、奥の円天井にはコレッジョのフレスコ画、壁も絵画で覆いつくされている。隣接する洗礼堂の内部も見たかったのだが、ちょうど午前中の拝観が終わってしまい、入ることができなかった。

 ドゥオーモから西に少し戻り、カヴール通りに入って南に進むと、ガリバルディ広場に出る。その名の通り、ガリバルディの銅像が立っている。この辺りには市庁舎もあり、町の中心になっていて、商店も多い。もちろん、パルマ名産の生ハムとチーズを扱う店もある。
 チーズは、パルマを含むエミーリア・ロマーニャ地方で製造され、一定の条件を満たしたもののみ「パルミジャーノ・レッジャーノ」を名乗ることができる。このチーズは長期間熟成されるため、非常に硬く、すりおろして粉チーズとしてよく使われる。ちなみに、日本を含めて世界各地で製造される「パルメザンチーズ」は、製法は同じだが、熟成期間はまちまちであるらしい。これらはもちろん、「パルミジャーノ・レッジャーノ」とは名乗れない。

 いよいよ昼食。前菜はもちろん生ハムと砕いたパルミジャーノ・レッジャーノ。チーズは食べるのに少々固いが、うまみは抜群だ。パスタはラビオリ。すりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりかける。メインは名前は忘れたが、焼き豚のようなものだった。
 「ハムか芸術かチーズか」ここでそれを問うのは愚かだ。全部食べてしまえばよい(笑)。

 ほろ酔い加減でジュゼッペ・ガリバルディ通りを歩く。外観も壮麗な教会や、オペラ劇場テアトロ・レージョの脇を通ってパルマ駅に戻る。

 帰りはレッチェ行きのFB9815に乗る。14時46分に発車。緑の田園風景を楽しむ。14時59分レッジョ・エミーリアに停車、15時12分モデナに停車。そして15時36分、ボローニャに停車。列車は、この後もまっすぐ南東に向かい、リミニでアドリア海に出ると、今度は海に沿って南伊のレッツェまで南下するのである。

続く
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