ヨーロッパ横断鉄道旅行-第9弾(ヴェネツィア→フィレンツェ)(3)

リアルト橋
春の夜の夢

 時刻は18時過ぎ。4月の終わりとはいえ、日本より高緯度のこの地域は、まだ日没にはほど遠い。実は夜にはザッカリア近辺に用があるのだが、それまでには時間が余る。そこで思いついたのは、ヴァポレットで本島の内側をぐるりと回る計画だ。
 まずはLine2に乗って出発サン・マルコ広場を真正面に仰いでジューデッカ運河を進む。やはり夕方に帰る日帰り客が多いからだろうか、各停留所での乗り降りに相当時間がかかり、ローマ広場に着いた時には19時になっていた。当初はローマ広場近辺で夕食を企んでいたのだが、大運河の混雑も考慮すると、それどころではなくなった。すぐにLine1に乗り換える。

 サンタ・ルチア駅真正面のサン・シモーヌ・ピッコロ教会を皮切りに、運河沿いの美しい建築が次々と現れては消える。自然史博物館カ・ペーザロ、カ・ドーロ、そしてリアルト橋を越える。橋の傍のレストラン街は夜の営業を始めたようだ。川岸の建物にも灯が点る。ヴァポレットはいつの間にかアカデミアまで来ていた。外壁に描かれた絵が美しいダ・ムーラ・モロシーニ宮を過ぎると、もうサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前だ。そして、プンタ・デッラ・ドガーナを過ぎると再びサン・マルコ広場が現れ、ヴァポレットはザッカリアに停まる。時刻はもう20時になっている。

 ザッカリア停留所のすぐそばにあるサンタ・マリア・デッラ・ピエタ教会に行く。このこぢんまりした教会が、今夜のコンサート会場である。
 20時30分、コンサートがスタート。ヴァイオリン6台+チェンバロという弦楽団。いくつかの短い曲の後、ヴェネツィア楽派を代表する作曲家・ヴィヴァルディの『四季』をフルで演奏する。弦楽器の美しい調べが壁によく反響して、私の体にも響く。コンサートは約1時間で終了。固いイスに座っていたので、お尻が痛い・・・。

 外は既に真っ暗になっていた。潮が満ちてきて、河岸の一部が既に冠水している・・・。帰りもLine1に乗る。この時間に帰る人も少なくないようで、たちまちすし詰め状態に・・・。だが、闇夜に次々と浮かび上がる建物、その中にほの見える豪華なシャンデリアや内装の奥ゆかしさよ。それらは、通勤電車のような苦しさを一瞬の間忘れさせ、私を夢の世界へと誘ってくれる。大勢の客で賑わうレストラン街を横目に、リアルト橋を通過。そしてサンタ・ルチア駅に到着。
 23時4分、ウディネ行きの快速で出発。何とこれが最終列車だ。間に合って本当に良かった。23時15分、メストレに到着。

続く
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