ヨーロッパ横断鉄道旅行-第8弾(ミラノ→ヴェネツィア)(12)

水路(ヴェネツィア)
迷宮

 サンタ・ルチア駅を出た瞬間、そこはもうヴェネツィアだった。目の前に流れるカナル・グランデ(大運河)、運河に沿って立ち並ぶ美しい建物の数々。あまりにも広過ぎて、深過ぎて、これからどこに行けばよいのか、何をすればいいのかわからないまま立ちつくす。

 気を落ち着けてしばらく考えた末、サン・マルコ広場を目指すことにした。大運河の上をバス代わりに走るヴァポレットには乗らず、まずは歩いてみる。大運河沿いの道はさすがに広い。広いとは言っても、車同士がやっと行き交える程度の広さしかない。ヴェネツィアの街には車が走っていないから、道は大勢の観光客で埋め尽くされる
 道端でレストランを見つける。昼時だが、あまり混んでなさそうなので入る。カルボナーラはおいしいのだが、やはりフニャフニャだ。イタリアでどうすればスパゲティをアルデンテで食べることができるか、その当時は答えがわからなかったのである。
 昼食を終えて再び歩き出す。道は次第に細くなっていくのだが、あまり心配する必要はない。なぜなら、少なくともサン・マルコ広場を目指す限り、案内版が至るところに出ているからだ。いくつものを渡っていくうちに、道は小さな路地となる。案内板のままに進んでいるとはいえ、不安になる。その道から左右に一歩でも外れたならば、そこには人っ子一人いない。一度入ろうものなら二度と出られない迷宮の入口が随所に口を開けている気がしてならない。

 複雑に入り組んでいるのは道路だけではない。ヴェネツィアは昔から道路より水路が発達してきた街である。馬車や自動車の代わりに市民の足となったゴンドラは、細い水路にも入り込む。そのため、大きな屋敷には専用の船着場まであるのだ。

 路地や水路が織りなす迷宮、それは人を不安にさせるが、一方では惹きつけもする。誰も踏み入らないその奥にはきっと何か秘密があるに違いない。この街が昔から世界中の人々を惹きつけてきた理由の一つは、そんな妄想を訪れる誰もが抱いてしまうからかもしれない。

 道は再び広くなる。そして大運河に架かる大きな石橋・リアルト橋が現れる。橋の上からは、大運河と河岸の風景を堪能することができる。

 リアルト橋から先は再び細い路地を右へ左へと曲がる。行き交う人が多い上に、商店などに物資を運ぶリヤカー(これほどまでにリヤカーが活躍する場所を見たことがない)も頻繁に通るので、混雑は半端ではない。こうして路地を抜けきったところにやっと空間が開ける。それがサン・マルコ広場であった。

続く
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