ヨーロッパ横断鉄道旅行-第8弾(ミラノ→ヴェネツィア)(6)

ジュリエッタの家
5日目

ジュリエットはどこに?

 未明から激しい雷雨に見舞われる。朝になっても雨が止まない。この日はブレーシャの東にあるガルダ湖に行く予定だったのだが、雨の湖に行ってもつまらないので予定を変えた。
 ブレーシャ駅に行くと、雨のせいか多くの列車が遅延している。中には250分遅れている列車も・・・。8時35分発予定のヴェネツィア行き快速列車は、8時38分に到着する。この程度の遅れなら、全く問題にならない。だが、8月のバカンスシーズンのせいなのか列車は満員で、狭いデッキに詰め込まれる。これなら、少々高くても特急に乗った方がましであった。

 列車は草原を進む。やがて丘の麓の美しい街が見えると、デセンツァーノに停車する。8時52分。ここからはガルダ湖の南岸を走るのだが、湖岸からは少し距離があり、そうでなくても人がいっぱいなので、湖の姿を見ることはできない。9時12分、ガルダ湖南東岸の町、ペスキエーラ・デル・ガルダに停車。まったく見ることのできなかったガルダ湖に別れを告げ、列車はさらに東に進む。巨大な貨物基地を過ぎると、大きな市街地に入る。9時28分、ヴェローナ・ポルタ・ヌオーヴァに停車。私はここで下車する。

 ポルタ・ヌオーヴァ駅はヴェローナの中心駅だが、市の中心部からは離れているので、バスに乗る。ところが、バスの車内には停留所名が表示されないので、どこで降りたら良いか見当がつかない。こういう時は周りの建物を見たり、人が大勢降りるところで一緒に降りてしまうしかない。そうやって「えいや」で降りてみたら、ブラ広場というところだった。辺りには城壁城門、そして宮殿もある。駅では工事中で閉まっていたツーリストインフォメーションも、ここでは開いている。やはりこのアプローチは正解だ。
 まずはツーリストインフォメーションでヴェローナ・カードを買う。これは市内の見どころの入場チケットとバスの1日券がセットになっているもので、かなりお得である。

 私は今あえて書かなかったが、ブラ広場にやって来た人が真っ先に目にするのは、おそらく城壁や宮殿ではないく、アレーナであろう。ローマ時代(1世紀!)に闘技場として建てられたこのアレーナの外観を見ただけでも、その「現役感」は十分に伝わってくるが、中に入り、薄暗く狭い通路を抜けると、そこには巨大な野外劇場が現れる。実際、毎年夏にはここで野外オペラが開催されるのである。正面から見ると意識しないのだが、ふと横を見ると、観客席の高さに驚く。これなら野球観戦もできそうである。(プレイするスペースがさすがに狭過ぎる気がするが・・・)

 アレーナからマッツィーニ通りに入る。ここはヴェローナで一番の繁華街と言われているが、雨なので気持ちが急ぎ、また路面が滑りそうになるのが気になって、ゆっくり街歩きが楽しめない。通りを抜けたところがエルベ広場である。
 このエルベ広場に面して、かつてのヴェローナの支配者・スカラ家の館などの一群の由緒ある建物が建っている。まずは周囲の建物から突出したランベルティの塔に上ってみよう。
 ありがたいことにエレベーターがあるので、息を切らすこともない。塔の上からのヴェローナの街の眺めは素晴らしい。天気が良ければ、もっと美しいものであったろう。
 これらの建物の中庭はシニョーリ広場と呼ばれており、かつての市庁舎コンシリオの回廊といった美しい建築が見られる。

 次いで、エルベ広場からカッペッロ通りに入ると、何やら人だかりができている建物がある。入ってみると、そこは「ジュリエッタの家」であった。ヴェローナを世界的に有名にしているものは、アレーナの野外オペラと、『ロミオとジュリエット』である。もちろん『ロミオとジュリエット』はフィクションなのだが、「ジュリエット(イタリア語でジュリエッタ)はこんな感じの家に住んでいたに違いない」とばかりに、名もない伝統的な家屋を観光名所にしてしまったヴェローナの人々の商魂には感服するほかない。ジュリエット云々を抜きにしても、5階建ての家の中を見て回るだけでもイタリアの伝統的な生活が感じられて面白い。中庭に面した小さなバルコニー(写真右側)を眺めながら、世界中から集まった乙女達(実は「元・乙女」が多いような・・・)は、バルコニーに立つジュリエットと自分の姿を重ね合わせるのだろう。

続く
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