ヨーロッパ横断鉄道旅行-第2弾(アテネ→ブダペスト)(17)

国会議事堂
12日目・13日目

ペスト

<12日目>
 この日はドナウの東岸・ペストを観光する。ホテルを出ると、通りを走るトラムに乗り、レーヘル広場に向かう。駅前には大きな市場がある。建物は現代的だが、中身はシルクロードのバザールと一緒で食品、洋服、雑貨などを扱う小さな商店が寄り集まっている。お土産を調達するには安くて便利な場所だ。

 レーヘル広場から地下鉄M3に乗る。ついでにブダペストの地下鉄について、ここでまとめておこう。2010年時点では、ブダペストの地下鉄はペストの中心部を走るM1、ブダペストを東西に結ぶM2、ペストを南北に貫くM3の3路線が存在し、これらは全てデアーク広場駅で接続している。ブダペストでは地下鉄・バス・トラムの切符は共通で、地下鉄では乗車前、バス・トラムでは乗車後に改札機を通す必要がある。特に地下鉄では改札機の後ろで係員が切符のチェックをしているので、これが事実上の改札口になっている。私は48時間のフリーパスを買ったから、この面倒な手続きは避けることができた。

 さて、M3に乗った私は、アラニー・ヤーノシュ通りで下車する。通りを南に歩いて行くと、目の前に巨大で立派な建物が現れる。聖イシュトヴァーン大聖堂である。イシュトヴァーンとは初代のハンガリー国王で、キリスト教に改宗したため聖人となった人物である。そのような名を背負う建物ゆえ、その威容は見るものを圧倒する。内部もまた豪華絢爛である。唯一の欠点は、19世紀に建てられた新しい建物ゆえ、まだ歴史的な重みがないということであろうか。

 大聖堂からデアーク広場まで歩いて行き、そこから地下鉄M2に乗る。西側の1つ隣の駅コッシュート・ラヨシュ広場で下車する。駅を出たところには何やらお城のような立派な建物が建っているが、実はこれがハンガリーの国会議事堂である。その西側はもうドナウの岸辺になっていて、ここから見るブダの景色も素晴らしい。

 再び地下鉄M2に乗り、デアーク広場に戻る。まだ乗っていなかった地下鉄M1乗り場に向かうと、M2やM3乗り場とは全く趣を異にする小さくて古いホームが現れる。それは地下にある「停車場」と呼んだ方がふさわしいかもしれない。しばらくして、全身が黄色く、ずんぐりむっくりで、わずか3両という短い列車が入線する。これが地下鉄M1である。乗ってみると、車両は意外に新しいことに気づく。だが、ドアが閉まる時のブザー音が何とも古ぼけている・・・。
 ホームをはじめとして何もかも古そうに見えるこのM1が開通したのは1896年。ロンドンに次いで世界で2番目に古い地下鉄なのである。そして、この路線の真上にあるアンドラーシ通り周辺の歴史地区と共に世界遺産に登録されているのだ。さすがに車両だけは近年になって開業当時のものを復元したらしい。
 このレトロな地下鉄に乗ってしばらく進み、英雄広場駅で下車する。M1の他の駅と同様、この駅の壁も白いタイルで覆われている。ホームから階段を上ると、そこはもう地上だ。19世紀のことゆえ、道路を掘り下げて地下鉄を造り、後から蓋をしたため、こんなに浅くなっているらしい。

 駅名の由来になっている英雄広場には、大天使ガブリエルの立つ高い塔を中心に、歴代のハンガリーの英雄がずらりと並んでいる。もっとも、私は不勉強ゆえに誰が誰だかわからないが・・・。
 この広場の左側にあるのが西洋美術館だ。王宮の美術館とは異なり、こちらにはハンガリー国外の画家の作品が多く展示されていて、かなり見ごたえがある。とりわけ、スペインやフランドル絵画のコレクションは素晴らしい。

 再びM1に乗り、デアーク広場からM3に乗り換えてブダペスト西駅で下車する。この駅も東駅と同様にブダペストの主要ターミナルである。駅舎は、ガラス張りの中央部と、これまたお城のような左右の建物から構成されている。中央のガラス張りの建物はホームをすっぽり覆っていて、その大きさに驚くのだが、奥に進むと、さらにホームが左右に広がっていることがわかる。
 向かって右側の建物にはマクドナルドが入っていて、その内装は何とも立派だが、ここで提供されるメニューは当然のことながら、どこでも食べられる普通のメニューである。


<13日目>
 いよいよ旅も終わりである。6時過ぎ、前日と同様にトラムに乗り、レーヘル広場から地下鉄M3に乗ってブダペストの南東に向かう。30分ほどすると列車は地上に出て、ハンガリー鉄道線と並走する。そしてM3の終点クーバニャ・キシュペストに到着する。ここは、数日前にベオグラード発の列車が立ち寄った場所でもある。
 ここからフェリヘジ空港行きのバスに乗る、ハンガリー鉄道線と並走して東に進み、20分ほどかけてフェリヘジ空港の第1ターミナルに到着する。この近くには鉄道駅もあり、ブダペスト西駅から列車で行くこともできるのだが、私や他の多くの乗客が行こうとしているのは、ここからさらに数km離れた第2ターミナルなのである。バスは第1ターミナルを出て10分ほどで第2ターミナルに到着する。

 パリに向かう飛行機は、予定通り9時40分に雪に覆われたフェリヘジ空港を離陸する。アスファルトが視界から遠のいて行くと、すぐに厚い雲の層を突き抜ける。窓辺を覆っていた雲が消えた瞬間、目の前にはどこまでも続く真っ青な空が広がっていた。

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