ヨーロッパ横断鉄道旅行-第2弾(アテネ→ブダペスト)(13)

ブダペスト行き列車(ベオグラード駅)(1)
10日目

ベオグラード→ノヴィ・サド

 朝、ホテルの部屋から外を眺めると、町はすっかり雪化粧をしていた。駅まで行くのに時間がかかると思い、予定より早めに出発する。通りに降り積もった雪は、それほどの量ではない。だが、駅に向かう坂を重い荷物を背負って滑らないように一歩一歩下るのは、非常にしんどい。
 やっとのことで駅前にたどり着く。時刻は9時前だ。かなり寒いと思った前日よりもさらに寒い。温度計はマイナス4度を示している。

 ここで心配になったのは雪の影響による列車の遅延や運休だ。案の定、駅の列車ダイヤ掲示板には、ベオグラード到着予定の列車が30分~4時間程度遅れていることが表示されていた。実際、ホームや線路にはかなりの雪が積もっている。不安は増すばかりだ。
 幸いなことに、ブダペスト行きの列車は既に入線しており、出発時間にも変更はなさそうだ。列車は2両編成。テッサロニキ-ベオグラード間の列車と同様に前が2等車、後ろが1等車になっている。列車の行き先を示すものは、水で濡れたドアのガラスに、その水分を利用して貼られた一枚の紙だけだ。テッサロニキからの列車には何も無かったのだから、無いよりはましである。

 私はまた1等車に乗る。コンパートメントは、やはり6人掛けになっている。出発を待つ間にも、駅には列車が続々と到着する。セルビア国鉄が運行する列車が多いが、中にはウィーン始発でブダペストを経由してきたオーストリアの寝台列車もある。この列車などは3時間も到着が遅れたようだ。9時50分を過ぎて、ほとんど無人だったこの列車にもようやく人の出入りが多くなる。

 10時8分、列車が発車する。予定発車時刻が10時5分なので、ほぼ予定通りだ。一面が雪に覆われた広い駅構内を列車はゆっくりと通り抜け、やがて右に大きくカーブすると、今にも凍てつきそうなサヴァ川を渡る。川を渡った所が、ベオグラード対岸の都市ノヴィ・ベオグラードだ。ホーム全体が新雪に覆われている。10時24分に停車。ここまでに16分もかかるだけでも相当遅いのだが、列車はここから発車する気配を全く見せない。車内放送があっても良さそうだが、何も聞こえない。もっとも放送があったとしても、私には聞き取れないだろうけど。停車している間に、数本の対向列車と行き違う。おそらくこれを待っているのだろう。停車してから20分以上経った10時47分、対向列車がノヴィ・ベオグラードを通過するのを見計らって、この列車はようやく発車する。
 列車は1km以上ある長いトンネルに入ったものの、出口付近で5分停車する。その後も徐行と停車を繰り返す。ほぼ予定通りに発車した列車であるが、ベオグラードからいくらも進まないうちに相当に遅れてしまったようだ。

 ベオグラード近郊の町ゼムン、ベオグラード南郊から西北に伸びる路線との合流点バタイーンツァを通過すると、辺りは郊外の風景に変わり、真っ白な平原が現れる。11時34分、ノヴァ・パズセアに停車する。この後、列車は今までの遅れを取り戻すかのようなフルスピードを一瞬見せたかと思うと、すぐに失速・・・。11時41分、スターラ・パズセアに停車。次いで、11時52分にインジャに停車する。このインジャの手前で、クロアチアに向かう線路と分岐・合流する。
 いったん止んでいた雪がまた降り始め、風も強くなってきた。吹雪だ。次第に視界が悪くなり、ついには大地と空の境目がわからなくなる。一方、車内の暖房はあまり効かず、底冷えする・・・。
 セルビアに入国した日がたまたま温暖だったので、私はここの気候を少々甘く見ていたようだ。今目の前で荒れ狂っているものが、冬のバルカン半島の本当の姿なのかもしれない。
 この吹雪がやはり列車の行く手を阻んでいるのか、列車は徐行とスピードアップを繰り返しながら走る。12時8分、ベシュカに停車する。あまり大きな駅ではないが、大勢の乗客が乗り降りする。

 ベシュカを出発して、丘陵を貫くトンネルを抜けると、ドナウ川の岸に出る。川岸は湿地帯になっていて、線路脇の木々の根元は水に浸かっている。スレムスキ・カルロヴツィを通過して湿地帯を抜けると、目の前には大きな都市が現れ、左手に大きく蛇行したドナウ川を渡る。そして列車はセルビア第2の都市ノヴィ・サドに到着する。12時38分。

続く
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