ヨーロッパ横断鉄道旅行-第2弾(アテネ→ブダペスト)(10)

ヴラニエ→ヴラニスカバニア
プレシェヴォ→ニーシュ

 車内には早速セルビアの出入国係官が乗り込んできてパスポートをチェックし、押印する。カードはない。入国手続きは順調に進んだようで、列車は約20分の停車の後、11時27分にプレシェヴォを発車する。スコピエから乗車していた車掌はここでもう交代してしまい、新たな検札が行われる。
 線路の西側には赤屋根の家屋が並ぶ集落が見えるが、その背後の山々を越えて何kmも進まないうちにコソヴォ領になってしまう。かつてセルビア領であったコソヴォで紛争が起きたのは十数年前、コソヴォが独立したのはわずか数年前であり、2010年の時点では両国間の交通は不可能である。目の前ののどかな風景からは想像もつかない、見えない壁がここに横たわっている気がする。

 列車は丘陵の間に挟まれた湿地帯や農村を北上し、11時50分にブヤノヴァツに停車する。これ以後、列車は再び普通列車になったようで、各駅に停車してゆく。
 外は非常に風が強いが、日差しが強く、車内の気温は上がる一方だ。厚着をしていた私も、上着を何枚も脱がざるを得ない。列車はのどかな田園地帯をゆっくりと進む。やがて左右に開いていた丘陵が狭まり、丘の上に広がる町が現れる。12時50分、ヴィアディツィンハンに停車する。駅前では何かの市が立っていて、大勢の人々が集まっている。スコピエを出てからはガラガラだった車内も、ここからやや混雑するようになる。

 列車はここから狭い峡谷に入ってゆく。いくつものカーブやトンネルを抜け、ジュプなどの山中の駅に停車してゆく。乗客の出入りはかなり激しい。わずか1駅・2駅で降りてゆく人も少なくない。これは本当にローカル列車である。2010年の時点で、プレシェヴォ-ニーシュ間を深夜以外に走る列車は、この列車を含めてわずかに3往復。ここでも国際列車は地元の人々の貴重な足なのだ。
 13時25分、列車は峡谷を抜けてグルデリツァに停車する。この後、列車は今まで以上に徐行し、13時45分にボレベヴォという駅に停車する。だが、この駅を発車した列車はなぜかしばらく逆走し、今度は並走する別の線路に入ってボレベヴォを通過して進んで行ったのだ。こんな平地の中でどうしてスイッチバックが必要だったのかは未だにわからない。

 列車は広く開けた平原の中を進み、14時3分にレスコヴァッツという大きな町に停車する。その後はあまり駅に停車せず、平原の中を快走する。この辺りからセルビア南部の大河川・モラヴァ川(チェコにある同名の川とは別)の流れに沿うようになる。
 やがて、レスコヴァッツよりもさらに大きな市街地が現れ、列車は右に分岐する。(これは市街地への引込み線であり、左に分岐すれば市街地をスキップして北に進む。)今度は右からやって来た線路と合流する。これはブルガリアから来た線路だ。そして列車は、セルビア南部の大都市・ニーシュに到着する。14時49分。

続く
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