ヨーロッパ横断鉄道旅行-第2弾(アテネ→ブダペスト)(9)

スコピエ→クマノヴォ
スコピエ→プレシェヴォ

 スコピエでは、車内のほとんどの乗客が降りてしまう。おじさんも若者グループも私に別れを告げて列車を降りていった。列車はここで25分停車した後、9時36分に発車する。時刻表と比べてみると、実に50分近くも遅れている・・・。
 高層の建物群が一瞬姿を消したかと思うと現れたのがヴァルダル川だ。そしてこれが、長い間車窓の友であったこの川の見納めとなる。列車は川を渡ると東へと向かう。スコピエまでは北西に進んできたので、方角的には少し逆戻りする感じだ。
 列車は、スコピエを出てから最初の分岐点を通過した辺りで一旦停車する。ここで右に分岐した線路は、丸いカーブを描いて坂を上り、私達の列車と立体交差して左方へと去って行く。この線路はスコピエ市街を西に抜け、マケドニア共和国北西部のキチェボに向かう路線と、隣国コソヴォに向かう路線へとさらに分岐することになるだろう。
 このコソヴォへと向かう路線こそ、かつてはスコピエからベオグラードに向かうもう一つの路線でもあったのだ。しかしコソヴォ紛争以来、コソヴォからセルビアに向かう路線は遮断され、2010年時点では、スコピエとコソヴォの首都・プリシュティナを結ぶ列車が1日1往復発着するのみである。
 こうした歴史を見ていると、ソ連解体後にいくつもの国境に分断された中央アジアの鉄道と事情がよく似ていることに気がつく。

 その後も、東進する私達の列車に多くの線路が分岐・合流を繰り返すが、その多くは貨物線や車庫・工場などへの引込み線である。この間、スコピエから交代した車掌が検札を行う。
 スコピエ空港の北側を抜けた辺りから、列車は北へと進路を変える。市街地は姿を消し、のどかな田園風景となる。朝からずっと曇っていた空からは、時折強い日差しが降り注ぐようになる。小高い丘が続き、その麓には赤い屋根の家屋が密集する集落が点在する。いつまでも見ていたい風景だ。
 やがてひときわ大きな集落が見えてきたかと思うと、列車はスピードを落とす。10時9分、クマノヴォに停車する。

 その後も列車は丘陵地帯を北進し、10時20分に国境の駅・タバノヴツェに到着する。ここでも、列車への厳重な警備があり、今度は出国用のカードを記入し、係官がカードの回収・パスポートへの押印を行う。全ては順調に行くはずだった。ところが、スコピエから私のいるコンパートメントに乗ってきたおじさんが一悶着起こしてしまったのだ。おそらくパスポートなどに不備があったのだと思うが、係官に出国を拒否され、しばらく言い争っていたが、やがては下車を余儀なくされてしまった・・・。
 そんなこともあり、タバノヴツェを発車したのは予定より1時間ほど遅れて10時58分である。マケドニア共和国には、5時間ほどの滞在で別れを告げることになる。国境地帯は草原や湿地帯になっているのだが、どこが国境なのか判然としない。並走する高速道路の脇に国旗を掲げる建物が見えるが、これは出入国の検問所なのであろう。

 やがて、赤い屋根の家屋が密集する集落が現れ、列車がスピードを落とす。ここはセルビアの国境の町・プレシェヴォである。11時8分に到着する(時差はない)。

続く
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