ヨーロッパ横断鉄道旅行-第1弾(イスタンブール→アテネ)(12)

古代アゴラ(2)
アテネ(1)

5日目(続き)

 夕方、古代遺跡の密集するプラカ地区を散策する。ここは19世紀の町並みが残されており、道が細く入り組んでわかりづらい。カプニカレア教会までは何とかわかったが、その後は当てずっぽうに道を歩いているうちに古代アゴラに面したアドリアノウ通りに出る。さすがにここには観光客も多く、カフェやレストランが数多く立ち並んでいる。だが、観光地価格というか、お値段は非常に高い・・・。
 仕方なく、少し戻ってパンドロスウ通りの裏手にある、これまたレストランが立ち並ぶ辺りに行き食事をする。ここだとかなり安くなる。スブラキ(肉の串焼きだが、ここでは豚肉が使われている)のサンドビール、そしてウゾ酒。ウゾ酒は名前こそ異なるが、トルコのラク酒と全く同じもので、水で割ると白く濁る。

6日目

 この日は、プラカ地区の遺跡を見て回ることに決めた。まずは「アドリアヌスの図書館」に行く。これは紀元2世紀にローマ皇帝ハドリアヌス(アドリアヌス)によって建てられたもので、壁や柱廊の一部が現在でも残っている。ちなみに、ここでプラカ地区の遺跡の共通入場券を購入する。各遺跡別に購入するよりもお得である。
 次いで、ローマン・アゴラに行く。その名の通りローマ時代の広場である。当時は賑っていたというが、今ではその名残となるようなものは少ない。敷地の一角に、風の神の塔が立っている。
 そして、古代アゴラへと向かう。パルテノン神殿のあるアクロポリスの麓にあり、古代のアテネ市民が集っていた場所である。アゴラ内の多くの遺跡は柱廊の跡などを残すのみだが、ヘファイストス神殿は小高い丘の上にその威容を現在までとどめており、アタロスの柱廊は完全に復元され、現在では博物館になっている。
 ところで、この遺跡の中も含めてプラカ地区ではたくさんのを見かける。暑いからだろうか、その多くは地面にへばりつくように横たわっている。紐や鎖でつながれてはいないものの、首輪がついているから野良犬ではなさそうで、人に吠え掛かることはないが、犬同士は仲が悪く、時折喧嘩を始める。

 古代アゴラの坂道を上って行くと、いよいよアクロポリスだ。だが、その入口に来た所で様子がおかしいことに気付いた。アテネの数ある遺跡の中でも最も有名な場所なのに、人影が非常に少ないのだ。よく見ると、ゲートに係員らしき人の姿は見えるのに、ゲートを出入りする人がいない。
 私は他の遺跡で係員に注意された言葉を思い出した。「アクロポリスはストライキのために閉まります。明日。」私は、「アクロポリスは明日閉まる」と解釈していたのだが、そうではなく、「アクロポリスは閉まっているので、明日行ってください」という意味だったのである・・・(共通チケットは購入日から2日間有効なのだ)。
 ギリシャ政府の財政危機に端を発した公的機関のストライキは、こんな所にも波及していたのだ。

 予想外の予定変更を迫られた私は、残りの遺跡巡りを翌日にして、アテネの郊外に遊びに行くことにした。アクロポリスから丘を駆け下って、地下鉄モナスティラキ駅に向かった。だが、この駅は閉まっていたのである・・・。ストライキは地下鉄でも行われていたのだ。再度予定の変更を余儀なくされた私は、アクロポリス以外の遺跡を見ることにした。

 プラカ地区を東に横切り、ミトロポレオス大聖堂と付随するアギオス・エレフテリオス教会、さらにはロシア教会と英国教会の前を通って、アマリアス大通りに出る。通りに沿って南下する。歩道の脇に遺跡が出現していて、上から見られるようになっている。こんな大通りにも遺跡があるのはさすがアテネである。
 アドリアヌス門の前で道を折れると、ゼウス神殿の巨大な柱が姿を現す。かつては104本もの柱があったそうだが、今では15本しか残っていない。それでも、かなりの迫力である。
 ゼウス神殿から大通りを渡った所には、新アクロポリス博物館がある。ここにはアクロポリス遺跡内で発掘された膨大な遺物が展示されており、特に最上階では、パルテノン神殿で飾られていたレリーフがその位置までも正確に再現されて展示されている。ちなみに、博物館自体が遺跡の真上に建っており、その遺跡を床の上から眺められるようになってもいるのだ。

 アクロポリス以外の遺跡を見たので、この日はホテルに戻ることにした。相当な距離を歩いたので、地下鉄をに乗りたかった。だが、地下鉄はスト中のはずだ。念のため、博物館の最寄り駅、その名も「アクロポリ」に入ってみる。駅構内には古代ギリシャ彫刻(ダミー?)が展示されている。そもそも駅構内が開いているということは、ストは中止になったのだろうか?ふと壁に貼られていたポスターを見ると、「スト中につき、地下鉄は10時-16時の間のみ運行」と書かれていた。モナスティラキ駅に行った際にはまだ10時前だった。今は昼過ぎだから地下鉄は動いていた。早速切符を買い、スタンプ機に通す。アテネの地下鉄のシステムは、以前に見たテッサロニキのバスのシステムと全く同じで、乗客は切符を買った後、スタンプ機で時刻を印字する必要がある。印字後、1時間30分までは全ての地下鉄・バスの路線に乗ることができるのは便利である。

 アクロポリから地下鉄2号線に乗り、シンタグマで下車する。そしてシンタグマ広場に出た時だった。広場前のアマリアス大通りを挟むように夥しい数の群衆が集まっていた。耳には大きなシュプレヒコールが聞こえてくる。そこでは、緊縮財政を目指すギリシャ政府の方針に反対するデモ行進が行われていたのだ。とは言え、参加者には殺気立った所はなく、時折コーヒーなどを口にしている人もいた。
 デモ行進をしばらく見物した後、私はホテルに戻った。歩き回って疲れていたので、そのまま寝てしまった。

 夕方、目が覚めて何気なくテレビをつけた。すると、そこには火炎瓶を投げつける一部のデモ参加者の姿が映っているではないか!私はギリシャ語は全くわからないが、しばらくテレビを見ていて、一部のデモ参加者が火炎瓶を投げつけて銀行などの建物に放火し、建物内にいた数名の人が亡くなった、そしてデモ隊は既に解散した、ということを理解した。

 ホテル内にはレストランが無く、食事をするには外出するしかない。恐る恐る外に出てみると、通りには前日よりも人気が少なく、閉まっている商店も多かったが、警官などの姿は見えなかったし、観光客も大勢歩いている。前日に行ったレストランに行ってみると、営業していた。観光客達は何事もなかったように食事を楽しんでいる。
 私も少し安心してここで食事することにした。シシカバブ(これも豚肉だ)に四角いチーズが丸ごと載ったグリークサラダ、そしてもちろんビール。

続く
目次へ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック